15 毒殺者の事後処理
「しかしまぁ、いきなり物騒だなぁ」レオがぽそりともらす
「屋敷の警備はどうなってるの?」ジェナがすこし起こり気味に問いただす。
「いつもどおりだ。特に変わったこともなかったし。客人が来たというのもしょっちゅうあることだしな。それが特別な客人というのはあるんだが、狙ったように来たのが気になる。」
あたしは先ほどの事を思い出して口を挟む。
「この杖を狙っていましたけど?」
「ふむ、杖か。」
しばし考え込むレオ
「ただ、これも伯爵様に頼まれて渡してくれといわれただけだし。何かの逸品という代物でも無いし」
「でも使える人にとっては特別な仕掛けがされています。」
「なんと」素直に驚くレオ
「その杖を狙っているという線から誰か考えられないかしら?」
「ただ、そんな仕掛けがあるにしても伯爵様ぐらいしか知らないんだと思うんだがなぁ。毒を使ってまでというのも気になるが、とりあえずこの二人を締め上げる。それが先決だな。それから食事も手配する。ジェナは何も食べてないようだしな。」
「いまは、伯爵様のところに陳情が殺到している。その線も込みで人を動員するしかないな。」
「ここの警護は?」ジェナがレオにたずねる。
「チェスターと槍兵プラスあと一人かな。一階の外側に詰めてる。あとは使用人が二人。薪割りの関係で鉈はもってるが、そもそも誰が信用できるか怪しいからチェスターに判断を任せよう。それ以外、この屋敷の警備は三名体勢が六組。いつもより多めにしてある。
厨房はアヌップに聞き込みさせているところで、今のところ逃げ出したやつは居ないし。イレギュラーは進入してきたこの二人だな。どこから入ってきたのかもわからん。進入を許したところが問題だがいまのところ実害は出ていないし、お嬢ちゃんがいろんな手を使えるみたいだしな。」
酩酊状態の二人を見ながらレオが付け加える。
「これはすぐに元に戻せるのか?」
「すぐにというほどではないですが、ちょっと時間をもらえれば。」
「そうか、とりあえず、縄で縛って猿轡をするんで、そのあと解除してくれ。」
「はーい」
レオは一緒に部屋に入ってきた男に指示をだして一安心したかのようだった。
「幻術でも見せましょうか?」
「え?そんな事ができるのか?」
「まぁ、できるはずです。どんなイメージでやれば効果的なのかはわからないですが。」
「むー、ただお客人の手を煩わせるわけにもいかないしなぁ。」
「そこは気にしなくていいですよ?今回は当事者でもありますし。」
悩むレオに声をかける。
「どんな感じのものが効果的ですかねぇ?」
レオはたじろいだ。
きっとあくまでも見たかのように感じていたに違いない。