12 お風呂の時間
反対側の扉を開いてみようと押してみたが駄目。引っ張ってみた。キィィという音を出してドアは開く。
1mくらいで突き当たり。トイレだろうかと思ってふと首を振ったがくだりの階段であった。
とりあえず、日の光が入るようになっているのか微妙に明るい。まぁ、大丈夫だろうと降りていくと、部屋の隅っこに小さな棺。棺というか、これはもしかしてお風呂?
桶っぽいものも積まれているしそんなものだろう。
期待しててごめんなさい。
別の隅っこに、建付けの箱に穴の開いたようなもの。穴があるなら覗くよね。
真っ暗で何も見えませんでした。
ふと気が付くと水がぽたっ、ぽたっと、たれる音。
顔を上げると正面の壁に木の桶がのめりこんでいる。2箇所ほど意図的にあけたと思われる穴。
ぴんと来て。桶の内側を持ってずらす。
じゃーっと飛び出す水にあわててそれを戻す。
なんだこれ? あれだよね? トイレっぽい。
止水栓という考え方がきちんとあればよかったのに....。
いろいろ残念。水がはねて一張羅が台無しに。
というか、トイレのたびに全裸に? いやいやいや....でも構造上仕方ないよね。あるだけマシなわけだし。
お風呂はというと、壁から青銅の筒が飛び出ている。隣の部屋から給水と給湯かぁ。きっと薪で暖めるんだろうな。
「ジェナーぁ」
「はい?」
「お湯はぐつぐつのにしといてね。」
「火傷するよ?」
「へーきへーき。」 ナノマシンにもエネルギーを与えないとね。
熱めのお湯でと言うことは伝わったと思うし。ナノマシンを動かすにはエネルギーが必要。基本的に、機械が動くのにはエネルギーが必要になる。小ささゆえに作られた仕事しか出来ない。意思なんてない。初期のナノマシンはナノマシンを作るための工作機械か大半。必要に応じて作成を行う。設計図は補助脳さんが提供。動作指示と結果は補助脳さんのお仕事。小さなマシンに自我は宿らない。
とりあえず、お湯も溜まってきたことだし、お風呂である。
脱いだ服は階段の途中に放り投げておく。
石鹸が無い、整髪料も無い、タオルもない。とりあえず体温より高い温度をエネルギー源に。結果、お風呂は温かった。体温近くまで下がった結果、かなりぬるく感じたけど贅沢は言ってられない。
この世界では贅沢品。それを考えると恵まれていんるんですけどね。
色気も何もあったもんじゃないですが。まぁ、仕方ない(ぇ