――緊急放送――
――また今日が始まった。
俺こと天城涼平は、高校三年にもなって
まともに進路すら決まってない、いわゆるダメ人間ってヤツだ。
いつも通り支度をして高校へ行く……ただそれだけだ。
でも、今日は少し違う所が一つだけ。
『緊急放送』
――本日より全施設にて、適正検査を行います。
(また面倒がひとつ増えるのな……休もうかな。)
――適正検査は絶対です。
指示に従い速やかっ……
まるで俺の独り言に反応するかのように選択肢はなくなった。
詳しくは分からないが、いつもの血液検査や診断のようなモノだろう。
高校の門が見えてくる頃、いつもとは明らかに違う事にすぐ気が付いた。
医者のような男が複数人……
――やけに大掛かり過ぎやしないか?
違和感を覚えながらも門を通過する。
そこにはいつもと変わらない教室と友人達。
――なんだ、俺の考えすぎか。
検査の内容も基本的にはいつもと変わらないモノだった。
保健室で血液検査をし、体育館でヘッドギアのようなものを被って数秒待つだけ。
教室に戻り胸を撫で下ろした時の事だった。
教室に戻ってきた先生の顔色が、あまり良くない事は誰でも分かる。
「えー、皆さんにお知らせがあります! 今日から学年別のクラス割から、ランク別のクラス割へ変更されますので次のクラスでも皆と仲良くするように!」
(なんだそりゃ……)
――クラスは混乱状態。
誰も質問すらしないから、俺が口を開いた。
「先生、ランク別ってなんでしょうか? 俺等どうなるんですか?」
「天城、お前は別だ……アレだアレ、とりあえずこの教室に残ってなさい」
質問に答えるどころか、なんの回答にもなっちゃいない。
それぞれ用紙を渡され、指定された教室へと散っていく中、俺は一人黙って座っている。
皆がいなくなったのを確認した後、先生が俺の席へと近づいてきた。
「天城、お前は特別成績が良いワケじゃない。」
(最悪だ、俺はやっぱりダメ人間ってやつ……)
「しかしだ! 今回の検査の結果、判定S! つまりは分かりやすく説明するなら特別枠だ!」
――やっぱりそっ……待て。
質問するより早く、先生が続きを話し始めた。
「今回の検査は全国で同時に行われているみたいでな? A判定以上は二桁といないらしいんだ。ここだけの話、ウチの学校からA判定以上が七人見つかったんだ。」
質問したい事が多すぎて、何から片付けるか迷ってしまう。
喋る事をやめない先生の話に、とりあえずで頷く。
「でな? A判定以上の人間は一箇所に集められるらしいんだ。とりあえず良かったな。如月もS判定だ。」
――栞奈も!?
(きっと、S判定とやらは馬鹿が選ばれるんだな……)
「お前の後輩達も面倒見てやれよ? 昼頃に迎えが来るから、その頃には他の皆とも顔を合わせるだろう。」
ワケも分からず、あっという間に昼がやってきた。
集まった七人は全員見たことのある顔で少し安心した。
七人にはあまりに広すぎるバスに乗り込み、遠のいていく学校を眺めながら深い眠りに落ちた。