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プロローグ

 普通の高校、普通の生活。一年生を終えれば大体の高校生活が分かってくる頃で、かく言う私も平静平穏な生活を送っている。

 いや、送っていた。そう、過去形だ。


 私の刺激は無くとも不自由も無い、快適な高校生活はついさっき担任が連れてきた人物によって木っ端微塵に粉砕された。


月花堂(げっかどう)響谷(ひびや)です。よろしくお願いします」


 月花の名に相応しい白銀の髪、サファイアブルーの瞳、スラリとした長身に見合った長い手足。日本人要素皆無な容姿から飛び出す日本語の破壊力たるや凄まじい物だ。妬む気すら失せる造形美が微笑んだという相乗効果もあるだろうけど、前後左右の至る所からハートを撃ち抜かれた音が聞こえた気がした。空耳では無いだろう。

 しかし、今の私にはそんな事どうだって良い。

 

 月花堂響谷。私は彼を知っている。

 いや、知っていた。私ではない私が、知っていた。

 意味が分からない?大丈夫、私も分からない。


 彼は、所謂『前世の私』が知る乙女ゲーム、『Week*Love』の登場人物。いや、攻略キャラクターだ。

 舞台はここ、七日(ななのか)学園。主人公は学園の二年生。ゲームは彼、月花堂響谷が転入してくる所から始まる。つまり今だ。そして主人公は月花堂含む七人の攻略対象と一年を通して交流を深めていく……まぁざっくり言うとこんな感じ。特色の少ない、良くも悪くも王道な乙女ゲーム。王道であるが故に安心安定の人気を得てアニメ化もされ映画化、舞台化もされた。

 そしてそんな王道学園乙女ゲームにのめり込んでいたのは……前世の私の妹である。乙女ゲームと言うジャンルを好んでいた妹(文字通り私の生前の妹)が最も愛していたのが、この『Week*Love』でアニメも劇場版も舞台も、Blu-ray媒体で流しながら何度も熱く語られた。一度だけ進められてプレイした事もある。


 そこまで思い出して、キャパシティを越えたのか私の視界は暗転した。






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