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虐殺

発狂!

グチュッズバッ ガンッ グアァ――――!!!!! グチャッ ギヤァ――――――!! ズバッ  バンッ パラパララララララララララ ドゴンッ バゴンッ グギガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!



 家の外から悲鳴と破壊音が響く。時間は深夜2時37分。しかし、もう眠気は冷め切っている。寝る前までの平穏が嘘のよう。確か寝る前には、保母さんと友人達とピクニック行く約束していたはずだ。それがこんな事になるなんて…


「もうやめて!子供たちに手を出さないで!」

 保母さんの悲鳴が孤児院に響き渡る。

グチャッ

「子供達だけはぁー!子供達だけはぁー!!!!」

 鉄の臭いと、ヒステリックな叫び。

キュイーーーーーーン ジュブジュブジュブ

「ワダジッ!ワダジッ!エグッ…ドボナッデモ!!イイガラッァァァァァ!!!」

 さらに臭いが増す。叫ぶ声は涙が混じってなんて言っているかわからない。

ドンッ ビチャッ

「アガっアガッアガッアガァァァァァッァァアッァッァァァァッァァッァァッァアァァァァァァァァァァァァァぁァ!!!!!!!」

 やがてそれは獣の咆哮へと変わり、

バン バン バン ジュブッ

「……ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメ………………!」

 呟きになって、

ゴリッ

「…………………」

 頭を砕かれた、腹に穴が開き内容物をまき散らした、あるいは四肢がミンチとなった無数の小さな死体達の中で唯一、傷一つない物言わぬ肉塊となった。


 それをサーモグラフィ―で確認して僕は、立ちすくむ。早く、一刻も早くここから逃げなければいけないのに。逃げなければ逃げなければ逃げなければ逃げなければ逃げなければ逃げなければニゲナケレバニゲナケレバニゲナ…

 その時、僕の手をギュッと握る手があった。柔らかい、それでいていつもよりは冷たいが暖かい感触。そうだ。こんなところで立ち止まっている場合ではない。早く僕たちは、最悪この二人だけでもここから離れないといけない。それには今はただじっと息を殺して敵が去るのを待つしかないのだ。今すぐに逃げたい衝動を殺し、敵のサーモグラフィーに姿が映らないことを祈りつつひたすらこらえる。大丈夫絶対にばれない。絶対にばれない。相手は気づかない!絶対に…?

トストストストス

 しかしそんな都合のいい話もなく、僕たち三人の隠れていたクローゼットに武装した敵が二人近づいてくる。

「うあわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 丘引がついに悲鳴を上げ、恐怖で体を震えさせ始める。もう、こうなったら敵兵を僕が引きつけて、知朱に丘引を引っ張って行ってもらうしかない。ここで死ぬのは怖いけど、二人が死ぬ所を見るのはもっと怖い。それにいつだって僕はリーダー面してきたのだ。ここで二人を救わなくては只のわがままな奴になってしまう。敵兵の一人が銃口をこちらに向けながら、もう一人が取っ手に手をかける。今だ!

 そして迷わず飛び出した。『僕が』ではない、『知朱が』だ。

「丘引を連れて早く逃げて!」

 なんて彼女は言う。

「なにやってんだ!?バカ野郎!」

「いいから早く!」

 その時僕は、ほっとした。これで殺される確率が減る。死ななくて済む。知朱が『逃げろ』と言ったのだ。ここで知朱が死んでも、あいつの自己責任だ。僕は知朱の言う通りにするだけだ。僕は悪くない。悪くない。悪くない。そして丘引の手を引いて必死に逃げようとした。しかし、丘引が動かない。


「だめだ。靑令… 知朱を置いていけない…」


 そうだ。僕は何を…バカなことを考えていたんだ。


「おっと、餓鬼どもそこを動くな。」

 後ろを振り向くとそのまま殴られて僕は気を失った。

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