鬼ごっこ
まだ過激な描写は来ない…
ほのぼのでとどめようかな?
詐欺になるけど…
長机が並ぶ廃墟の大広間。
タタッ タタタタッ
右斜め前方と左斜め後方から足音。しかし、足音からして前方の方は逃げている。後方から『鬼』だ。どうやら相棒はビビッて逃げたらしい。
タッ・・・
周りを探るように、足音が消える。ここからが本番だ。最後の足音からして距離は10m程だ。息を殺しつつ灰の詰まった袋を構える。
ベチャッ
5m程のところで泥が跳ねる。『鬼』はもう間近。
ボフンッ
僕は思いっきり袋を殴りつけ、前方に細かい石灰を飛ばす。
「うわっ! ゲホゲホっ」
これまで何も見えなかった場所に人影が浮かび上がる。すかさず水をかけ石灰を固める。そして僕は迷わず『鬼』と反対方向に駆け出す。ここで捕まる訳にはいかない。
「もう!最悪!」
気にせず走る。僕だとばれれば後で殺されるが、声を出さず、ばれなければそれも回避できる。『鬼』はまず外の水場に向かって灰を落とすだろう。
「後で覚えときなさいよ!靑令!」
もうばれたっぽい…後で丘引に頼んでアリバイを作っておこう…等と考えていたら
バチン
「痛っ!」
顔面に何かがぶつかり鼻から血が出る。思わずうずくまり、声をあげてしまった。
「そこだ!」
背中から跳びつかれ、そのまま外へともみくちゃになりながら転がり出る。
「捕まえたぁ!」
石灰まみれの『鬼』が細かい表情までは見えていないのに、こちらがひるんで動けなくなるほどの殺気を放つ。
「覚悟は出来てるよね~?」
「ナナナナナナンノコトデショウカ?」
「問答無用!」
さっき僕が捨てて行った袋が逆さにされ、石灰が全て僕にぶちまけられる。その後、お返しとばかりに小量の水をかけられ石灰が固まり僕のシルエットを浮かびあがらせる。
「ははっ、何、間抜けな顔してんのよ?」
表情まで見られるとは屈辱である。
「さぁて、もう一人はどこかな?熊手に躓く間抜けな『捕虜』さん?」
さっき倒れた場所に視線を向けると大きな熊手が転がっている。どうやらあれを踏んづけてしまったらしい。
「仲間を売るようなことはしない!」
「心がけは関心関心。だけどもう出てきた。」
「なにっ!?」
「靑令ごめん…ばれたと思った…」
「何してんだよ丘引!後で助けてくれると思ってたのに!」
「んもう、見苦しいよ?」
知朱は呆れたような声を上げながら自分の石灰を水で流す。
「僕にも水~」
「はいはい、ちょっと待って。」
べたっとした石灰が水で洗い流される。
「早く帰るわよ?ビショビショで風邪ひいちゃう。」
「脱いで帰ればいいじゃん。」
「靑令、死にたいの?鏡に裸体を移すような事はしたくないし。」
外ではすごく貴重な僕たちの姿を映せる特殊コーティングの鏡だけれど、この島の近くからコーティングに使われるレアメタルが採れるため、島では一般家庭でも普及している。
「靑令…それは…さすがに嫌らしい…」
「うっせぇ!鏡外に置いてる人なんていないからいいじゃんって意味だよ!それに、こいつのチッパイをコーティングミラーで覗いても誰も得しねぇし!」
「なんで知ってんのよ?それにこれから大きくなるよっ!」
「それはどうだか?まな板で終わるんじゃね?」
「見てなさい…!18頃にはナイスバディになるんだから!」
「はいはい、頑張って。」
「くーっ!バカにしてっ! クチュンッ!そんなことより早く帰るわよ!ほんとに風邪ひいちゃう!」
タタッ
「ちょっ待てよ!」
タタッ
「…待って…」
トタタッ
会話ばかりですみません…