プロローグ
初めて投稿させてもらいます。
出来れば感想お願いします。
誰もいないように見える。しかし、そこにはたくさんの気配が確かにある。しかしその気配も開いたドアから減っていく。
「何してんの?靑令?早く行こうよ?」
そんな誰もいない、気配が満ちた場所から声が聞こえる。
「ちょっと待って。今いく。」
「早くしてよ~?」
「うん!」
幼馴染の知朱だ。彼女は薄い桃色の髪をショートカットにした女の子だ。瞳はきれいなハシバミ色で、少し目が垂れている。どちらかというとおとなしそうだが、スポーツが全般的に得意で勉強もそこそこできる。そんな幼馴染の彼女のことを、僕はすべて知っている気になっているが、お互い肉眼で互いの容姿を見た事はない。
こんな風に説明すると、「それって妄想w痛すぎワロたwww」って今の人は笑うけど、昔はそれが普通だったんだ。
世界は言語が統一され、いさかいらしいいさかいもなく、平和な日々が続いていた。2000年ごろに危惧されていた人口爆発による飢餓も、2112年に世界が統一され、貧しい人々にも豊かな国の技術が伝えられて起こらなかった。第二次まであった世界的な戦争も2176年に三回目が起こりかけたが、伝説の聖女の働きかけによって回避され、全ての兵器が放棄された。この日、普通だったら『終戦記念日』となるはずが、世界中の軍人が日本という国のお菓子、『モリナガラムネ』を分けて食べあったことから、『ラムネ記念日』というふざけた名前が付いた。
それにしても、人間というのは争いがないと向上していかないもので、統一された直後の人々は自堕落な生活を送っていた。これではいけないということで、工学的な技術競争を聖女の御触れで起こさせ、技術発展の向上を試みた。ここで特に成長したのが宇宙開発の技術である。これまで核弾頭を他国に打ち込むために発展させてきた技術が転用され、宇宙開発に目覚ましい進歩があったのだ。昔はミサイルを撃つためにロケットを作ってきたのに、ロケットを打ち上げるためにミサイルの性能を上げた。というようなバカらしいことになっていたという。ロケットの性能は上がっていき、民間用の宇宙船も販売され、月や火星に住居を構える人々も出てきた。それでも数年に一度大きな事故が起こる。そこで世界の技術者たちは集まり、『宇宙エレベーター』を建造する。これによって、大気圏突入などの危険がない安心安全な宇宙旅行を可能とした。しかし一緒に、これまで信仰されてきた神教も、一般人が宇宙に行きやすくなった事で、すたれていき代わりに科学信仰が流行っていった。
そんな時に事件が起きた。2303年、世界中の人の頭の中で世界の主の声が響いたのだ。
「この前のバベルで懲りたと思っていたが、あれではまだ生ぬるいらしい… お前らには言語だけではだめらしい。そこで今回は姿を消してやろう!後悔するがいい!!」
そして、世界から人の姿が消えた。
といっても『いなく』なった訳ではなく、肉眼で『見えなく』なったのだ。サーモグラフィーを使えば確認できるし、特殊なコーティングを施した鏡を使えば姿をうつすことができた。人々はここで次に起こるであろう事が予測できず、この事態を楽観していた。
姿が特殊な方法でしか確認できない。となると、犯罪件数が増加する。サーモグラフィーでは細かい顔の構造までは分からない。鏡をコーティングするのにレアメタルが必要で、数がとても少なく一枚でユーラシア大陸すべての人間の4年分の食費程の金額がかかり、とても高額で取引された。そんな代物が一般に出回ることはなく、犯罪者は急増し、そのほとんどが野放しになっていた。それでも世界の警察が設立され、これを取り締まった。この世界の警察は優秀で数の少ない鏡を活用し、犯罪者たちを次々に逮捕していった。ここまでは良かったのだが次第に警察が力を伸ばし、冤罪件数が増え始め冤罪にかけられた民はまるで奴隷のように扱われた。これに反発した人々がデモを起こし、警察が鎮圧、デモ、鎮圧、デモ、が続き、 『デモ』は『テロ』に変わった。
まず、警察本部に核弾頭が打ち込まれ、その後各地の支部が暴徒の波によって潰されていった。
世界から秩序が消え、個人個人の戦争…『殺し合い』が続き、大地は透明な血であふれた。
設定が長くなってしまいました。
すいません…