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4話 悲劇の始まり(1)
幼い子供たちが楽しそうに本を読んでいる様子を、私は静かに眺めていた。
子供たちは、図鑑や絵本に夢中で、瞳がきらきらしている。
「……私も幼い頃はこんな感じだったのかしら?」
小さくつぶやいた。
しかし、不思議なことに、幼い頃のことが何一つと思い出せない。
覚えている中で一番古い記憶は、いつのものだろうかよくわからない、灰色のおかしな服に身を包んで、歩いているところ…だった気がする。
「…おかしな話。」
そうつぶやくと、ふわっと心が軽くなった気がした。
さて、そろそろ勉強を再開するか。
そう思い立ちあがった瞬間、
ドガンッ
地震のような、強い衝撃が建物を襲った。
子供たちがパニックになっているのを、ケイトが落ち着くように指示を出している。
この図書館は、余程のことがない限り壊れない頑丈な造りになっているから、ここにいる限りは安全だ。
「ケイト!私は外の様子を見てくるわ!子供たちをお願いっ!!」
ひとまず、状況を理解するために外へ駆けだした。
このとき、なぜ、私は一人で出て行ってしまったのだろう。
と、後悔するのは、もう少し後の話…。
次から、バトル要素はいります。