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凛子さんと狼くん  作者: 太郎
腐れ縁の関係性
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鈍感

 凛子さんは鈍感だ。


 相手の落ち込みとか気分の変化には、誰よりも早く気づくくせに。自分への感情は全く気付かない。きっと、俺が凛子さんのことをどう思っているのかも気づいてない。


 しかし、気づいて欲しいとは思うのだが気づかれてギクシャクするのも嫌だからこの現状で良いのかもしれないし、でもこの関係では終わりたくないし……とかいろいろ考えてしまう。


 それもこれも、変に煩悶してしまうのは凛子さんのせいだ。

 ああもう。可愛いって罪って本当だ。


 態度は身長と比例して小さいし。料理は上手いし。声は可愛いし。俺なんかと一緒にいてくれるし。とてもいい奴なんだが。

 もう少し敏感になって欲しい。

 しかし、敏感な凛子さんはそれはそれで怖いかもしれない。

「凛子さん……」と俺が見つめただけで、「私のことが好きなのね。私も好きよ。フォーリンラブね」なんて返されちゃたまったもんじゃない。

 やっぱり今のままで良いのか。そうだ。今のままで良い。鈍感じゃない凛子さんは凛子さんじゃないからな。


 それに凛子さんは突発的な行動が多い。何を考えているのかは分からない。

 しかし、結局は俺のことを考えて動いてくれてるってのはうっすら理解している。

 今日のお粥もそうだ。美味しいからいいんだけどもな。急にどうしたんだ?俺がお粥求めている様に見えたのか?


 あー、凛子さんが俺の笑顔を好きだったことが意外だった。

 基本笑顔になることが少ないのにな。と、頬を摘まむと犬歯が露になった。そういえば凛子さんはこの八重歯を怖がってない。今更ながら、少し驚いた。


 誰だっただろうか。俺の犬歯を見て吸血鬼だと泣いたガキは。どうでも良いから忘れたな。


 恥ずかしいし笑顔なんて出来ないからあまり見せたくないが、凛子さんが喜ぶならたまにならやっても良い。仕方がないから練習してやる。

 現に笑顔を作るのなんて久しぶり過ぎて表情筋がぷるぷると痙攣しているから。


 そう言えば、と言えない程重要なことだが、俺は凛子さんの裸を見てしまった。

 湯気で何も見えなかったと言いたいところだがバッチリ見えてしまった。

 『しまった』と言うと悪いように聞こえるな。『見えてくれた』か?それだったら変か。まあそこら辺はどうでも良いのだが。

 で、見たのだが凛子さんの反応は変わらない。俺だって一応男だからそれなりの羞恥心を感じるはずなのにな。

 もしかしてまったく羞恥心を感じない人なのか?それだったら危険だ。他の奴等に見られても俺の時の様に動揺しないでいたら、勘違いされてしまう。


 ……今度徹底的にモラルについて教えよう。


 凛子さんを見る度に、その、裸を思い出してしまうので凛子さんをまともに見れない。だが、恥ずかしがるのが何で俺なんだ?と、毎回疑問に思う。


 普通見られた側の女の子が顔赤らめるなりなんなりして照れてそっぽ向くもんだろ?

 何故俺が真っ赤になってそっぽ向く?何故俺が凛子さんを見る度照れる?

 俺は乙女かっつーの。


 やっぱりその点も含めて凛子さんは誰よりもズレている。第一に俺と抵抗なく会話出来る時点で、普通の子じゃないと思う。


 だから、凛子さんは良い。変だから良い。


 今度、きっと凛子さんは自分のことを平凡で普通だと思っているだろうから、違うと教えてあげたい。

 その時に凛子さんは俺の中でも普通な存在ではなくて特別で一番心を許している人だってことを細かに説明したいが、きっと凛子さんは勘違いすると思う。絶対に。


 本当に凛子さんは鈍感だ。

 いつになったら凛子さんは俺の気持ちに気がついてくれるのだろうか。


 その時は俺は一体どの様な対応をするのだろう。

 付き合う?……いや、そもそも付き合うって何だ。いちゃいちゃしてラブラブか?知らん。

 どうでも良いって訳ではないが、経験がないものだから定義というものを知らない。

 まあ、そこらは凛子さんが決めるだろ。

 意外と凛子さんが主導権を握りそうな気がするからさ。


 ……その時がきたら、の話だけど。



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