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元英雄、学園の先生になる  作者: かるとるん


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1/1

先生/英雄と呼ばれた男

 ベルン学園。魔術師を育成する専門の学園であり、各国から実力と名誉ある人材が集まる場所でもある。

 そんな学園に新たな先生が赴任することになった。その知らせは学園内外に瞬く間に広がり、新聞には特集記事まで組まれた。

 記事を読みながら苦笑いする俺、アルク・ハーゲンは馬車に揺られながら外を見る。


「ベルン学園か……懐かしいな」


 そう言うと突然馬車が止まる。何事かと思い飛び降りると、巨大なオークが道を塞いでいた。

 聖剣を思わせる大きな片手剣を鞘から引きぬいて構える。


「魔物退治か。俺の周りはこうトラブルばっか起きるなぁ」


 オークに視線を合わせ、剣に炎の魔力を込める。巨大な棍棒を縦に振り上げるオークよりも早く詠唱する。


「炎・一閃!」


 オークが横真っ二つに斬れると同時に、灰となって消える。その様子を見た運転手は思わず尋ねていた。


「お前さんは一体……」

「アルク・ハーゲン。ベルン学園の先生だ」


♢♢♢


 オークが出るという問題はあったものの、無事に辿り着いた。校内に入ると真っ直ぐに校長室へ向かう。

 三度ノックをして校長室の扉を開ける。 


「失礼します」


 椅子に座って待っていたのは、大きな帽子を被ってヒゲを生やした老人。校長だ。


「久しぶりだねアルク。いや、英雄様」

「今は元ですよ、校長」

「まあまあ座りなさい。君に話したい事がある」


 校長は短杖を振って椅子を召喚した。


「魔力は衰えていないようですね」

「はははっ。動かないからな、そう簡単に魔力は減らない」


 椅子に座ると軽口を叩いていた校長が真剣な表情になる。


「君を呼んだのは他でもない。この学園を救って欲しいからだ」

「話には聞いています。生徒の突然の失踪、死亡事件。先生方も狙われているとか」


 その言葉に校長は神妙な顔をする。一年前からベルン学園を狙った事件が多発している。犯人は不明。魔物の恐れもあり、ギルドや自警団も警戒を強めているがそのような気配もない。

 校長は俺の目を見据えると、指を三本立てる。


「ここでの君の役割は三つだ。先生として生徒を卒業させること。この学園内にいるであろう裏切り者を探すこと。そして、魔王の残党を始末すること」

「やることが多い……」


 そう言ってため息をつく。魔王の残党はともかく、学園内に裏切り者がいる事実は知らなかった。校長は何故知っているのか。

 そんな俺の疑問もよそに、校長は一枚の紙を机の引き出しから取り出す。


「さて、生徒たちを君に紹介しなければ」


 全校生徒の前で紹介されるのだろう。そう思っていたが、紙には六人の生徒の情報が書かれていた。

 つまり、俺が受け持つ生徒は六人ということか。


「以外に少ないですね、俺の生徒」

「君には特別な生徒を担当してもらうからね。訳アリの入学者だ」


 訳アリ……か。元英雄の俺も十分訳アリの部類に入るが、校長は見越しているな。

 生徒の情報が書かれた紙を読んでいると校長から声がかかる。


「もうすぐ全校集会も終わるだろう。生徒が待っているはずだ。行きなさい」


 俺は立ち上がり、校長に頭を下げて校長室を後にする。目指す場所は三階の奥にある教室。

 二度目の学園生活はどんなものになるか。校長の言う役割より、今は期待の方が大きかった。

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