事前の魔法
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
町を出る時、カインはアーレンと自分へ魔法を発動させていた。先ず怪我や毒等を自動で回復する魔法を発動させる。回復魔法の魔法持ちなので呪文の詠唱が要らない。
『自動全回復の魔法…即死さえしなければ不死身になる魔法…』
『…この魔法がなければ竜と対峙した時に私は死んでいた』
アーレンはカインの凄さを実感する。その横でカインは特に気にせず防御魔法の魔導書を取り出した。
「我に従う守の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ自ずと盾を与えよ、オート・シールド」
「我が魔力を糧として我へ自ずと盾を与えよ、オート・シールド」
次に自動で盾が現れて攻撃を防ぐ魔法をカインは発動させる。回復魔法でなければ呪文を詠唱しなければならない。
『過保護…いや、私は私で気を抜かないようにしよう』
アーレンは気を引き締める。
いつもならば事前に発動させておく魔法は自動全回復と自動盾の魔法だけだった。後は戦闘の前に鎧を具現化させる。しかし今回は違った。
「アーレンさん、新しい魔法を想像したんです」
「試してもいいですか?」
カインは目を輝かせている。
「新しい魔法…分かった試してくれ」
アーレンはカインに答えた。
「我が魔力を糧として彼へ復活の鎧を与えよ、リバイバル・アーマ」
カインの魔法でアーレンの体が鎧に包まれる。
「もし砕かれても自動で復活する鎧です」
「これで攻撃を受けて防御力が低下するなんて事はありません」
「あと外は危険なので常に鎧は具現化させておきましょう」
カインは新しい鎧の魔法を説明した。
『やはりカインは過保護だな、自動の盾で攻撃を受ける事がないのに…』
『強靭のスキルを持つ私よりも自分の事を心配すべきだ』
『…カインの事は私が守る』
アーレンもカインの事を想っている。
アーレンは女とバレないように外套を身に付けて体を隠していた。その外套をアーレンは脱ぐ。
「えっ、脱いじゃうんですか?」
「常に鎧を具現化させてくれるなら外套は要らないだろう」
「そうですね」『お揃いの外套だったのに…残念』
アーレンとお揃いの外套を気に入っていたカインは残念がっていた。