占い師
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンはゼイルのいる村へ到着する。
「ゼイルさんと会うの久しぶりですよね」
「あぁ、元気にされているといいな」
カインとアーレンはゼイルの元気な顔が見たい。ゼイルの家に着くとゼイルは家の前の畑で作業していた。
「こんにちは、ゼイルさん」
カインとアーレンはゼイルに挨拶する。
「おぉ、カインとアーレンか」
ゼイルが二人に気付き、カインとアーレンは会釈を返した。ゼイルは作業を止めると腰を伸ばす。
「こんにちは、久しぶりだな」
ゼイルも挨拶を返してカインとアーレンに合流する。
「また会いに来ちゃいました、作業のほうは大丈夫ですか?」
「暇でやっていた作業だ、問題ない」
ゼイルはカインとアーレンを家に招き入れた。
三人はテーブルを挟んでイスに座る。ゼイルはカインを見つめた。
「また新しい魔法をカインは覚えたんだな、麻痺や睡眠も回復できるのか」
「サンダランド国で状態異常にする魔物を討伐する事があったんです」
カインはゼイルに事情を説明した。
「なるほどな…ん、魔力も回復できるのか?」
『本当に何でも分かるんだな…』「はい、アーレンさんが魔力切れに…」
「魔力切れ?アーレンが?」
カインの言葉を聞いてゼイルはアーレンを見る。
「アーレンが魔法適性を持っている…」
「確か以前は持ってなかったはずだ…どういう事なんだ…儂の記憶違いか?」
ゼイルは驚く。と言うよりも戸惑っている。
「風の精霊が魔法使いのスキルを与えてくれました」
「精霊に…そんな風にスキルを得る事があるのか」
アーレンの経験はゼイルも知らない事だった。
「剣士のスキルも熟練度が以前よりも高くなっている」
「二人とも成長しているんだな」
ゼイルは感心している。感心している様子を見てカインとアーレンは嬉しい。
ゼイルはニヤリと笑った。
「剣を振るう時に呪文の詠唱は面倒だろう?」
ゼイルはアーレンに問う。
「そうですね…目の前に魔物がいる状況で呪文の詠唱は難しいと思います」
「剣を振るう前、もしくは距離を取って詠唱する事になるでしょうね」
『カインと一緒なら…攻撃を受けながらの詠唱も出来ない事はない』
アーレンはゼイルに答えた。カインと一緒ならば自動全回復の魔法がある。
「そこで教えたい事がある」
「魔法を魔法名だけで発動する詠唱省略と呼ばれるスキルだ」
「えっ!?」
ゼイルの話にカインとアーレンは驚いた。
「ただ、魔法を魔法名だけで発動するには三つ条件がある」
「その魔法の精霊は事前に呼び出す事」
「その魔法の想像は明確に行う事」
「その魔法の呪文は過去に詠唱している事」
ゼイルが三つの条件を告げる。
「初めて聞きました、何で知られていないんですか?」
カインがゼイルに聞いた。
「普通の魔法使いなら魔物と距離を取ればいい」
「防御壁を張る事も出来る」
「精霊を呼び出す為に魔導書を開く手間はある」
「魔法名だけで魔法の想像を明確に行う事が難しい」
「それなら呪文を詠唱しながら魔法の想像に集中したい」
「そんな感じで忘れられてしまったんだろう」
ゼイルはカインの質問に答える。
「しかし剣士でもあるアーレンは知っておいたほうがいいと思ったんだ」
「魔法を発動させるまでの時間は少しでも短いほうがいいからな」
ゼイルはアーレンに助言した。
『全部じゃないけど僕達は魔導書を開かなくても精霊を呼び出せる…』
『詠唱省略は凄くありがたい!』
カインは喜ぶ。剣を持つと決めたカインにとって詠唱省略のスキルは有用だった。それはアーレンにとってもである。
「ありがとうございます」
カインとアーレンは礼を言う。ゼイルは再びニヤリと笑った。
カインはゼイルへ結婚の報告がしたい。
「アーレンさん…」
カインが全てを言わなくてもアーレンは微笑みながら頷く。
「ゼイルさん、僕達…結婚しました」
「おぉ…そうかそうか結婚したのか、おめでとう!」
カインの結婚報告にゼイルが祝いの言葉を返す。
「いずれ結婚するだろうと思っていたが…早かったな」
「そんな風に思っていたんですか?」
「あぁ、想い合う二人が一緒にいれば自然な事だ」
ゼイルに「想い合う二人」と言われてカインとアーレンは恥ずかしい。
「正式にはお金を貯めて冒険者を引退した後になります」
「そうか、じゃあ早く金を貯めないとな」
「はい」
カインとアーレンはゼイルに答える。
カインとアーレンはゼイルの家を後にした。
「今回も占い料を払わずに占ってもらったな」
「そうですね」『占いと称するスキルの鑑定と助言…』
「次に来る時は土産でも持ってきましょう」
「あぁ、そうしよう」
カインとアーレンは水の精霊のもとへ向かう。




