武器屋
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
次は武器屋へ向かう。武器屋はランガの店である。その姉オリビアとランガにカインとアーレンは世話になっていた。
「いらっしゃい」
「おはようございます、ランガさん」
ランガが出迎え、カインとアーレンは挨拶を返す。
『あれ、ランガさん…元気ない?』
「ランガさん、何かあったんですか?」
アーレンがランガの様子に気付く。カインは気付かなかった。
「えっ、あぁ…」
「店に試用室を設置しようと思ったんだ、だが店が狭くてな」
「仕方のない事だ、気にしないでくれ」
ランガが答える。試用室は試しに用いる空間で使用する時に周囲が危険とならないように防御壁が張られた。試用室があると武器屋であれば武器を試してから買えるようになる。
「店の運営も大変なんですね」
「まぁ、今まで通りやっていくしかないさ」
ランガはアーレンに答えた。
武器屋に来た目的は他にある。
「ランガさん、僕達そろそろ別の町へ行こうと思います」
カインがランガに伝えた。
「わざわざ挨拶に来てくれたのか、二人は律儀だな」
「ありがとう」
ランガは淡々と答える。が微かに喜んでいるように見えた。あまり表情に出ない。
カインが落ち着かなくなってくる。
「ランガさんにも結婚の事を伝えていいんじゃないですかね」
カインはアーレンの耳元で囁いた。結婚した事が嬉しいカインは報告したい。アーレンは微笑みながら頷く。
「正式にはお金を貯めて冒険者を引退してからなんですけど…」
「僕達、結婚しました」
カインがランガに伝える。店に他の客はいない。
「そうか、おめでとう」
一瞬、驚いた表情になってから真顔になってランガは祝いの言葉を伝えた。
「早く金を貯めないとな、正体を隠すなんて面倒なだけだ」
「はい」
ランガにアーレンが答える。アーレンは冒険者をする為に女である事を隠していた。一部の者しか知らない。
伝えるべき事をランガに伝えてカインとアーレンは武器屋を後にした。世話になった人に自分達の幸せを伝えられる事は嬉しい事である。