魔導書屋
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
朝食を食べ終えてカインとアーレンは魔導書屋へ向かう。ハロルと妻のシンディが営む魔導書屋である。魔導書屋は人通りの多い通りにあった。
「いらっしゃい」
「ハロルさん、おはようございます」
「おぉ二人か、おはよう」
ハロルが二人を出迎え、三人は挨拶を交わす。
「ハロルさん、僕達そろそろ別の町へ行こうと思います」
カインはハロルに旅立ちを告げる。
「そうだな、冒険者なんだから一つの場所に留まらずに見識を広げたほうがいい」
「…ちょっと待っててくれ」
ハロルは奥へ行き、シンディを呼んできた。シンディは子を抱いている。
「シンディさん、おはようございます」
「カインくん、アーレンさん、おはよう」
三人は挨拶を交わす。
「シンディさん、僕達そろそろ別の町へ行こうと思います」
カインはシンディにも旅立ちを告げる。
「そっか、二人は冒険者だもんね」
「…二人、何かいい事あった?」
「!」
シンディはカインとアーレンに何かを感じ取った。昨晩、カインがアーレンにプロポーズして正式ではないが二人は結婚している。シンディの鋭さにカインとアーレンは驚く。
「その…昨日の夜、僕からプロポーズして結婚しました」
「正式にはお金を貯めて冒険者を引退してから結婚します」
他に人がいない事を確認してカインは頭を掻きながら白状する。横でアーレンは顔を赤くして照れていた。隠すように両手で顔を覆っている。
「あっ、指輪…」
「アーレンさん、指輪してるのね」
更にシンディは気付く。
「カインからの贈り物なんです」
アーレンは嬉しそうに左手薬指の指輪をシンディとハロルに見せる。
「オリビアさんに作ってもらいました、お揃いなんです」
そう言ってカインも左手薬指の指輪をシンディとハロルに見せた。
「素敵ね」
「まるで結婚の証みたいだな」
「結婚おめでとう!」
シンディとハロルはカインとアーレンへ祝いの言葉を送る。指輪に関して結婚している証とオリビアも言っていた。
「ありがとうございます」
礼を言ってカインとアーレンは喜ぶ。シンディとハロルの言葉が嬉しい。
カインとアーレンは魔導書屋を後にする。
「結婚した事、シンディさんに気付かれちゃいましたね」
「シンディさん、鋭かったな…」
「きっと心眼のスキルだろう」『冒険者なら相当な手練れのはずだ』
カインとアーレンはシンディの凄さを感じていた。この世界の人間はスキルと呼ばれる力を持っている。シンディも恐らく相当な力を持っていると思われた。