雷の精霊
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
建物の中は仕切りのない広い空間になっている。空間には三人しかいない。
「最初から正体を明かそう、儂は雷の精霊だ」
「魔法剣を習得してもらう為に儂が二人を呼んでいる」
雷の精霊は正直に話した。
「火の精霊に聞いたと思うが二人をファイアンド国から逃がす為でもあった」
「ファイアンド国の件は…ありがとうございました」
カインとアーレンは雷の精霊に礼を言う。
「礼には及ばない、さっそく魔法剣を習得してほしい」
「とりあえず魔導書が邪魔だろう、雷魔法の魔導書を出してくれ」
雷の精霊に言われてカインとアーレンは雷魔法の魔導書を取り出す。
「先ずアーレン」
雷の精霊はアーレンの魔導書の中に消えて魔導書はアーレンの剣と一つになった。剣の刃の片側刃元には新たに黄色で楕円の玉が付いている。鞘も変形した。
「次にカイン」
雷の精霊は再び目の前にいる。雷の精霊はカインの魔導書の中に消えて魔導書はカインの腕輪と一つになった。腕輪には新たに黄色で楕円の玉が付いている。
「今まで通り、呪文の詠唱という形で呼んで頂ければ力添え致します」
雷の精霊はカインとアーレンに決まり文句を伝えた。
次が本題である。雷の精霊は自身の剣を抜く。構えると剣の刃が変化した。
「魔法剣というのは魔法の刃の剣だ、雷の魔法剣なら雷の刃という事になる」
雷の精霊の言葉を聞いてアーレンは要点を理解する。アーレンは剣を抜いて構えた。
「我に従う雷の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ雷の刃を与えよ、サンダ・ブレイド」
魔法でアーレンの剣の刃が変化する。雷の精霊はニコリと笑った。
「雷の魔法剣は斬撃が雷の特性を持つ」
「斬撃と雷の特性を持った攻撃が出来るようになるんだ」
雷の精霊が雷の魔法剣について説明する。
「それとマジカリウム製の刃は魔法が馴染む」
「魔法剣を使えば使うほどマジカリウム製の刃自体が固く鋭くなっていく」
雷の精霊はマジカリウム製の刃についても説明した。アーレンの剣はマジカリウム製の刃を持つ剣である。ランガとオリビアに作ってもらった。
「鍛冶師の方が魔力を流しながらマジカリウムを加工すると仰っていました」
「今では忘れられつつある技術だ、出会いに恵まれたな」
「はい」
雷の精霊の説明を聞いてアーレンはランガ達の事を思い出している。アーレンは雷の魔法剣を習得した。
カインは雷の精霊とアーレンのやりとりを眺めている。
『雷の魔法剣か…凄いなぁ』
カインは感心していた。どこまでもアーレンが強くなっていく。
「次はカインの番だ」
雷の精霊がカインのほうを向いた。
「何を他人事だと思って感心しているんだ!」
「いや違う、自分事と思わないように我慢するんじゃない!」
雷の精霊はカインを責める。
「えっ…いや…その…」
カインは何を責められているのか分からない。
「魔法なら剣を持つ事が出来るだろう?」
「カインなら魔法の刃を想像する事が出来るだろう?」
雷の精霊は剣の刃そのものを魔法で想像するように言っている。
「でも僕は剣のスキルが封印されて…」
「スキルのない事をしてはいけないと誰が決めた?」
「それは…」
カインは雷の精霊に言い返せない。
「もちろん、出来る事をする、大事な考え方だ」
「魔法持ちのカインが魔法を使う事を否定しない」
「だからと言って、したい事をしてはいけない、なんて事はない」
「憧れのアーレンはスキルがないと思っていた時も鍛錬を続けていただろう?」
「自分の持っているものを使って我流を磨けばいい、我慢するな!」
雷の精霊がカインを叱りつける。カインは俯いて言葉を発しない。
「カインは我慢しなくていい」
「私がカインの傍にいる」
アーレンの言葉を聞いてカインは顔を上げる。突然、カインはナイフを手にした。
「我に従う雷の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ雷の刃を与えよ、サンダ・ブレイド!」
カインの魔法でナイフの刃が巨大な雷の刃となる。カインは雷の魔法剣を習得した。
雷の精霊は満足気である。
「よしよし、拗らせていたカインを叱れて満足した」
『叱りたかったんだ…』
雷の精霊はカイン本人の前でも遠慮がない。雷の精霊がカインとアーレンを呼んだ本当の目的はカインを叱る事だった。
「そうそう、二人の知らない種類の魔法があるぞ」
「えっ?」
雷の精霊は涼しい顔で大事な事をカインとアーレンに伝える。
「どんな種類の魔法があるんですか?」
「光魔法というのと土魔法というのがあるが…あまり使われていない」
雷の精霊はカインに答える。
『光魔法と土魔法…どうして使われないんだろう?』
カインは疑問に思った。
「他の魔法で代用できる、魔導書が嵩張る、…という感じだろう」
「でも使われてないからといって使えないとは限らない」
「想像力次第で便利に使える可能性もある、興味があれば探すといい」
雷の精霊はカインに説明する。
「興味があるんだろう?」
「はい!」
目を輝かせながらカインはアーレンに答えた。カインは新たな魔法を探したい。




