道具屋
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンは道具屋に入る。
「いらっしゃい」
道具屋の店主が出迎えた。
「魔物の特徴と出没情報が載った地図はありませんか?」
アーレンは店主に聞く。先ずは情報が欲しかった。店主は奥から魔物の地図を持ってきて見せる。魔物の地図は値段が高い。
「すみません、これも商売なので…」
店主は値段の高さに恐縮している。
「仕方がないですよね」
「あぁ」
カインとアーレンは地図を購入した。
カインとアーレンは道具屋が扱っているポーションも確認する。確認すると扱っているポーションの種類が多い。
「ヒール、ハイ・ヒール、デトキシ、サネティ、…」
「…他にも見た事ないポーションもありますね」
普段からカインが納品しているポーションだけでなく、納品した事のないポーションも棚に置かれていた。
「デパライ・ポーション、デスリプ・ポーション、と書いてあるな」
アーレンは棚の商品名を読んで確認する。サンダランド国で冒険者をしていたわけでないのでアーレンも初めてみるポーションだった。
「デパライ・ポーションは麻痺を回復するポーションですね」
「デスリプ・ポーションは睡眠を回復します」
店主がポーションについて説明する。
「この二つは持っておいたほうがいいですよね」
「そうだな」
カインとアーレンはデパライ・ポーションとデスリプ・ポーションを購入した。
「デパライ・ポーションとデスリプ・ポーションだけでいいんですか?」
「はい、他は魔法が使えるので」
カインは店主に答える。
アーレンには気になる事があった。
「サネティ・ポーションがあるという事は魔人が確認されているんですか?」
「えっ?あぁ、魔人が幻惑を使うとされてますもんね」
「幻惑ではなく魅惑という能力を使う魔物がいるんですよ」
店主がアーレンに答える。
「魅惑を使われると魔物の虜になってしまいます」
「それを治す為のサネティ・ポーションです」
「人を操っているという点で似た能力なんでしょうね」
店主はサネティ・ポーションの使い道を説明した。魅惑は虜にするという形で操り、幻惑は自由に操る。
『アーレンさんも魅惑を使えるのかな…なんて』
カインは冗談を思い浮かべた。
「魅惑を使われると…」
「グロテスクな魔物から逃げもせず無抵抗で鼻の下を伸ばしながら襲われます」
「悲惨ですよ」
店主は魅惑について説明する。店主の説明を聞いてカインは反省した。
せっかく道具屋に来ているのでポーションの納品がしたい。カインは防御魔法の魔導書を取り出す。
「ポーションを納品します」
カインは魔導書を開きながら店主に伝えた。店主は不思議そうな顔で見ている。
「我に従う水の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ多くの水を与えよ、メニ・ウォータ」
「我に従う守の精霊…」
「我が魔力を糧として彼らへ治癒薬の瓶を与えよ、ヒール・ボトル」
「我が魔力を糧として彼らへ高位治癒薬の瓶を与えよ、ハイ・ヒール・ボトル」
「我が魔力を糧として彼らへ解毒薬の瓶を与えよ、デトキシ・ボトル」
「我が魔力を糧として彼らへ正気薬の瓶を与えよ、サネティ・ボトル」
カインは魔法で次々と小さな水の塊を瓶の中に収めた。収めたら対応する回復魔法を中身の水に付与する。瞬く間に大量のポーションが用意された。
「何をしているんですか?」
「私も魔法使いです、当店のポーションも多くは私が用意しています」
「…でも何をしているか分かりません」
店主は今まで会った道具屋店主達の中で一番驚いている。魔法使い故に驚く。
「先ず全て初めて聞く魔法です、これは…私の勉強不足でしょう」
「でも何で防御魔法の魔導書を開きながら水魔法も使っているんですか?」
「水魔法は腕輪を使っているんです」
カインは腕輪を見せながら店主に答える。
「腕輪…腕輪で魔法が使えるなんて初めて聞きました」
「じゃ、じゃあ、いつ回復魔法を使ったんですか?」
「呪文の詠唱をしてなかったですよね?」
「回復魔法は魔法持ちなんです、だから呪文を詠唱しなくても使えます」
カインは店主に答えた。店主は唖然としている。突然、店主はナイフを手に取って自分の腕を切りつけた。ヒール・ポーションを傷に掛ける。傷が治って瓶が消えた。
『ポーションって飲み薬じゃなかったんだ…』
今度はカインが驚いている。ポーションは飲んでも掛けてもいい。
「魔法持ちの方に初めて会いました、光栄です!」
「握手して下さい!」
店主に求められてカインは店主と握手した。
『…詠唱しなくていいだけなんだけどな』
カインはピンときていない。
ポーション納品の報酬を受け取ってカインはアーレンと道具屋を後にした。
『私もポーションを納品したいと言い出せなかった…』
『やはりカインは凄いんだな』
空気に負けてアーレンはポーションを納品できていない。




