風の精霊
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンが町を出て進む道の先に人影が見えた。他に人はいない。
「あれ?あの子は…」
カインとアーレンは人影が孤児院にいた足の速い男の子だと気付く。
『もしかして精霊?』
「正解!俺は風の精霊だよ」
風の精霊はカインとアーレンの心の声に答える。精霊で間違いない。
「今日はありがとう、お礼させてよ」
そう言って風の精霊はアーレンの体の中に消えた。
「えっ…」
アーレンは状況が飲み込めない。
「これでアーレン姉ちゃんは魔法使いってのになったよ」
「別に他のスキルが使えなくなったわけじゃないから安心して」
消えたと思った風の精霊は再びカインとアーレンの前で説明する。
「カインみたいなイレギュラーじゃないから魔力量は並だよ、気を付けてね」
「アーレン姉ちゃんは頑張り屋だから気を付けてあげるのはカインだよ」
風の精霊はカインに注意した。アーレンの事を心配している。
『私が魔法適性を…こんな形で身に付けるものなのか…』
アーレンは魔法適性を身に付けた実感がない。意味もなく自分の手を見つめている。
「こうやって身に付けるのが本来なんだよ」
「人間が勘違いしちゃったから最近は魔法適性を与えてなかったけど…」
「アーレン姉ちゃんなら大丈夫でしょ」
風の精霊が言葉を加えた。
「試してみましょう!」
カインが自分の魔導書を差し出しながらアーレンに呼び掛ける。
「我に従う風の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ風を与えよ、ウィンド」
アーレンはカインから魔導書を受け取り、呪文を詠唱した。地面に落ちていた枯葉が渦を巻いて浮かび上がる。アーレンは魔法適性を身に付けた。
「この国の魔導書屋は城下町にしかないから城下町へ行くんだよ」
「サンダランド国へ行くのは魔導書を買った後でいいからね」
言葉だけを残して既に風の精霊はいない。




