危険な冒険者
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
しばらくの日が経過した。
「お話したい事があります、宜しいでしょうか」
「なんだ?」
宰相が王に話しかけ、王が答える。
「竜の件ですが…」
「魔竜になろうとしている竜を監視していた者に話を聞きました」
「竜は確かに一度は魔竜になったとの事です」
「そして…」
「たった二人の冒険者が魔竜を倒してしまったというのです」
「なっ、なんだと!」
宰相の話に王は驚く。
「その二人は剣士と魔法使い…」
「剣士は竜の鱗を切り裂き、魔法使いは幾千もの雷を竜に落としたそうです」
「特に魔法使いは…」
「竜の動きを封じ、竜の攻撃を防ぎ、毒も幻惑も無効にしたと言います」
宰相は話を続けた。
『竜に傷を付けるだけなら我が軍にも出来る者は何人かいるだろう…』
『しかし竜を相手に一人でそこまで出来る魔法使い…恐ろしい』
王は冒険者を恐れている。
「竜はいなくなった…」『その点だけはありがたい』
王はニヤリと笑う。
「いえ、魔竜は倒された後に本来の竜へ戻ったとの事です」
『だったら状況は何も改善せずに悪化しただけじゃないか』
『竜をも倒す冒険者なんて危険でしかない、何とかしなければ』
驕る権力者は自らの力が及ばない存在を認めない。
「その二人の冒険者は危険だな、何とかしろ、生死は問わない」
王は宰相に命じた。
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