証明
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
四人は部屋を出る。ディアナは屋敷に残っていたガルドの部下達を呼ぶ。
「誰か剣でアーレンさんの相手をしてあげて欲しいの、お願い」
ディアナが部下達に頼む。
「お相手ですか?」
「えぇ」
何が目的なのかディアナも部下達も分からない。
「カイン、解除してくれ」
「…はい」
カインがアーレンに発動させている魔法を解除すると鎧が消えて女の姿が現れた。その姿を見て、カインとアーレンを除いた場にいる者達がざわつく。
「例え訓練であっても女性に剣を向ける事など出来ません!」
「その通りだ、男は女性を傷つけるような事をしてはいけない!」
部下達は反発した。カインはあたふたしている。
「私自身がいいと言っているんです!」
「それとも…女の私に負けたら恥ずかしいとでも思っているんですか?」
「そんな事だから魔物討伐の遠征にも参加させてもらえないんです」
「こんな部下を持って…私はガルドさんに同情します」
アーレンは部下達を挑発した。見た事のないアーレンにカインは唖然とする。
「俺が相手するよ」
アベルが名乗り出た。鍛錬用に刃を潰した剣をアーレンに差し出している。
「私はこれを使わせてもらいます」
アーレンは落ちていた木の枝を手に取った。空気が変わる。
「怪我しないように気を付けてね」
アベルがアーレンに告げた。アベルの声に怒りが滲む。
アーレンとアベルが対峙する。
「始め!」
部下の合図と同時にアベルの剣はアーレンに振り降ろされた。しかしそこにアーレンの姿がない。
「!」
木の枝がアベルの首に触れて離れた。アーレンの気配へアベルは体を向ける。アーレンは木の枝でアベルの服を切り裂いた。
「…参りました」
アベルは負けを認める。
「カイン、回復を頼む」
「服だけを斬るつもりが体まで傷つけてしまった」
アーレンがカインに回復を頼んだ。直ぐにカインが反応する。
「いや、こんな傷…」
アベルが言い終わる前に傷は回復した。
アーレンはディアナのほうを向く。
「女にもスキルがあると分かってもらえましたか?」
「…えぇ」
「結婚の時に家柄を気にする理由はスキルを確実に継承させる為です」
「…なるほど」
「これでカインの話も信じられるんじゃないでしょうか」
アーレンの話を聞いてディアナは頷いた。
「リリアナさんは騎士の家の方だと聞きました」
「カインに騎士のスキルが全くないのは逆に不自然よね」
「スキルが封印された状態と考えるほうが自然だわ」
ディアナは納得している。
アーレンは部下達のほうを向いた。
「先程は無礼な事を言ました、申し訳ありません!」
アーレンは深く頭を下げて部下達に謝罪する。
「頭を上げて下さい、事情がある事は分かります」
「しかし信じられません、アベル様は若いですがかなりの実力です…」
部下達は誰もアーレンに対して怒っていない。しかし驚いている。アーレンは頭を上げてゼイルに聞いた話を部下達にも伝えた。
「…そしてジョブで言えば私は剣士です」
「剣に限れば騎士に勝るという事でしかありません」
アーレンは説明を加える。部下達は納得した。
「良い刺激になりました、我々も鍛錬に励みます」
「次は遠征に参加して見せますよ」
「いえ、さっき言った事は…」
部下達の言葉にアーレンは慌てる。
「分かっています、ご家族と領地を守る為に我々は残ったんです」
「その気にさせようとしてアーレンさんは挑発したんですよね」
部下達は笑ってアーレンを揶揄った。
アーレンを憧れの眼差しで見つめる者がいる。
『かっこいい…』「アーレンさん、かっこいい!」
アベルが声を上げた。
「速いし、動きに無駄のない太刀筋が見事だし、…」
「ちゃんと頭を下げられるのも何かかっこいい!」
アベルは燥いでいる。アーレンへの嫉妬は消えていた。
「傷付けてすまなかったアベルくん」
アーレンはアベルにも頭を下げる。
「あんなの平気、気にしないで」
アベルもアーレンに対して怒っていない。
『嫌われたと思っていたが…受け入れてもらえたようで良かった』
『…カインの家族に嫌われたくないからな』
アベルの様子にアーレンは安心している。




