誤解
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
使用人やガルドの部下がカインと会う度に暖かい声を掛ける。
「カインが突然いなくなって皆も寂しがっていたのよ、もちろんガルドも」
「すみません…」
カインはディアナに謝った。
ディアナ、アベル、カイン、アーレン、の四人は部屋に入るとテーブルを囲んでイスに座る。使用人が四人に茶を入れた。そして席を外す。
「ガルドは魔物討伐の遠征でしばらく帰ってこないわ」
「タイミングが悪くて…ごめんね、カイン」
「いや、僕のほうこそ突然でごめんなさい」『そっか、いないのか…』
ディアナがガルドの不在をカインへ伝えた。ガルドがいないのは仕方がないがリリアナの汚名を返上する目的が果たせない。
「アーレンさんはカインの事情を知っているの?」
ディアナがカインに聞く。
「はい、アーレンさんは事情を全て知っています」
「事情を知って誤解を解くように助言してくれました」
「誤解?」
ディアナはカインに聞き返す。カインはゼイルに聞いた話をディアナに伝えた。
「女にもスキル、両親からスキルの継承、親からの継承ではないスキル、…」
ディアナはカインから聞いた話を飲み込めていない。この世界で女はスキルを持たず子は父親からジョブを継承するとされていた。全て覆される事になる。
「そして僕は騎士のスキルを持っているけど封印された状態だそうです」
「だから母さんは不貞行為なんてしていない、父さんが僕の父さんです!」
カインは全て説明した。そんなカインをアーレンは見守っている。
アベルもカインの話を聞いていた。
「じゃあ兄さんも騎士なんだね、やっぱり俺達は最強の兄弟だ」
話を聞いてアベルは喜ぶ。
「カインに騎士のスキルがあるなら嬉しい、ガルドだって喜ぶと思う」
「思うけど…」
カインの話を信じたい、でも今までの常識が覆る、故にディアナは戸惑っていた。
アーレンは親子の様子を見て決心する。
「ディアナさん、私がカインの話を証明します」
「どなたか剣で私の相手をしてくれる方を呼んでくれませんか?」
「えっ?…はい」
アーレンがディアナに切り出す。
「カイン、私の魔法を解除してくれ」
「でも…」
アーレンの言葉にカインは戸惑う。カインが魔法を解除すれば鎧が消えてアーレンは女であると知られる事になる。アーレンはカインの目を見てゆっくりと頷いた。