助言
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンはウィンダンド国にいる。
『カインはウィンダンド国の出身だったな…』
「カイン、家に顔を出さなくていいのか?」
アーレンはカインに問う。カインは騎士の家に生まれたにも拘わらず騎士のスキルを発揮できなかった。そして魔法持ちである。父ガルドの子ではないと思われていた。
「そうなんですよね…」
「ゼイルさんの話を聞いた後、僕も父さんの子だと思えました」
「家に顔を出してもいいのかな、と思ったんです」
「でも僕は家を出た人間なんですよね」
「それで…どうしたらいいんだろうと思いながら今に至ってます」
カインはアーレンに正直な気持ちを伝える。アーレンに隠し事はしない。ゼイルは占いと称してスキル等を鑑定してくれた人物である。
「なるほど…確かに悩ましいな」
「でも、お義父さんや家族の事は好きなんだろう?」
「私は家に顔を出してもいいと思う」
「そしてお義母さんの汚名を返上してあげたらいいんじゃないか?」
アーレンはカインに助言した。ゼイルに聞いたスキルの説明をすれば、誤解が解けて不貞行為をしたという母リリアナの汚名は雪がれるかもしれない。
「そう…ですね」
「母さんの汚名を返上する、なんで思いつかなかったんだろう」
「父さんだって悲しい疑いなんてしたくないに決まってる」
「ありがとうございます、アーレンさん!」
カインは晴れやかな顔をしている。アーレンが助言したおかげだった。