隠し事
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンは町を出る。宿屋へ泊まる心の余裕はない。二人は先を急いだ。周りに人はいない。二人きりになった。
「バレなくて良かったですね」
「あぁ」
カインが話しかけてアーレンが答える。
「念の為、カインの鎧はファイアンド国を出るまで具現化しておいてくれ」
「はい、アーレンさん」
カインは武器屋で買った剣を携えて自分に鎧を具現化させて騎士に見せていた。アーレンのアイデアである。
「まさか本当に荷物の中まで調べるとは思わなかった」
「もしかしたらが的中しちゃいましたね」
荷物を調べられる事も二人は想定していた。
「魔導書を鎧の装甲の中に隠して正解でした、おかげで胸板が分厚いです」
カインは胸板が分厚く見える事が嬉しい。三冊の魔導書を鎧の装甲に隠したのはカインのアイデアだった。
「登録証は調べられませんでしたね、てっきり調べられると思ってました」
「見た目に説得力があったんだろう、胸板が分厚いからな」
「なるほど…」
アーレンがカインの胸を軽く小突き、カインはニヤニヤする。登録証は薄く透明でない膜のような防御壁で包んでいた。そしてジョブを魔法使いから騎士へ変えている。
「しかしカインは嘘や隠し事が下手だな、オドオドしていて私まで緊張した」
「隠してるんだ、って意識すると緊張するんですよね」
「そうだな、嘘や隠し事なんてしたくないよな」『そう言えば…』
カインと話していてアーレンは一つ思い出した。
「指輪を用意してくれた時、カインは内緒にしていたよな?」
「はい、内緒のほうがいいんですよね」
「ありがとう、でも私に無理はしなくていい」
「私には全てを正直に話してくれて構わない、そのほうが嬉しい」
アーレンはカインに気持ちを伝える。
「そう…ですか、分かりました」
カインはアーレンに答えた。もうカインはアーレンに隠し事をしなくていい。
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