同盟
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
戦争が始まるより前の事である。ウィンダンド国からファイアンド国へ同盟の申し入れがあった。
『魔物に対抗する為の同盟…』
『魔物なんて放っておいても軍に守られた城にいれば問題ない』
『それよりも同盟を結べば国の間を自由に行き来し易くなる』
『…この同盟、受ける価値有りだ』
ファイアンド王は同盟を結びたい。少なくとも結びたかった。
王は御付きの者達を集める。
「ウィンダンド国との同盟、申し入れを受けようと思う」
「何か意見はあるか?」
王は御付きの者達に意見を求めた。御付きの者達に異論はない。
「人間如きが魔物に対抗する為の同盟、不愉快だ」
何者かの声がする。何者なのか分からない。空間が歪んで魔人が現れた。その魔人は強烈な威圧感を放っている。
「同盟は認めない!」
その魔人が聞こえた声の持ち主だった。恐れながらも任務に忠実な警備の兵士達が魔人を攻撃する。
「この魔王に人間如きの攻撃は通じない!」
魔王は兵士達の攻撃でたじろがなかった。それどころか傷一つ付ける事が出来ない。
「力量差は感じていただろうに…任務に逆らえないのか、不憫だな」
「グワァー」
魔王が軽く腕を振ると兵士達は弾き飛ばされた。衝撃だけで兵士達は身動きが出来ない程に傷付く。それでも兵士達は立ち上がる。
「あれで死なないのか…人間如きが」
「スキルというやつだな、身の程を弁えろ!」
魔王による封印で兵士達は崩れ落ちた。
王は魔王の力を目の当たりにする。
『そんな…警備には我が軍から選りすぐりの者を就かせているはずだ』
「た、助けて下さい!」
「命ばかりは…」
王は魔王に命乞いをした。
「命乞い…生きる為には他の方法がないだろうな」
「人間は能力で操ろうと思っていたが…」
「よし、お前だけは今のまま傀儡となれ、逆らう事は許さん」
魔王は恐怖で王を傀儡にする。ウィンダンド国との同盟は結ばれなかった。
ウィンダンド国はサンダランド国とだけ同盟を結ぶ。魔王に操られたファイアンド王は自身の命惜しさにウィンダンド国へ自軍を向かわせた。