侵入
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンはファイアンド国の城下町に到着する。何としても王に会わなければいけない。
「我に従う風と光の精霊…」
「我が魔力を糧として我らへ不可知を与えよ、アンノア」
魔法で自分達の姿と音を消し、カインとアーレンはファイアンド城へ向かった。
城前の広場では相変わらず永遠の火が灯っている。
「城門が閉じていますね…どうやって入りましょうか」
「無駄に荒っぽい事をしたくない、城壁を越えていこう」
「えっ?城壁って…かなり高い壁ですよ?」
カインに聞かれてアーレンはニコリと笑う。
「我に従う風の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ風の翼を与えよ、ウィンド・ウィング」
魔法でアーレンは風の翼を得た。
「あっ、なるほど…」
「でも僕は風の翼が使えません」
「翼の仕組みや飛び方をちゃんと理解できてないんです」
「心配するな」
アーレンはカインを抱き上げる。そして風の翼を羽ばたかせ城壁を飛んで越えた。カインは顔を赤くしている。アーレンは気にしていない。
城壁の中に入ると異様な空気が充満していた。
「変な空気を感じませんか?」
「ドーラゴニスさんと初めて対峙した時のような…」
「あぁ、強烈な威圧感という感じか」
「人間の城で感じていいような空気ではないな」
異様な空気を感じてカインとアーレンは気を引き締める。
カインとアーレンは建物の中を進んだ。どこに王がいるか分からない。建物の中を進む途中で兵士とすれ違う。
「こちらは姿も音も消していますけど…緊張しますね」
「私達がしているのは不法侵入だからな」
カインとアーレンは王を慎重に捜し歩いた。