上位魔人
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインは急ぎ魔人のもとへ向かう。途中で傷付いた者が目に入れば残らず回復させた。
『至る所に魔石が転がってる…』
『魔物は誰かが討伐しているのか』
『部屋にいなかったし…もしかしてアーレンさん?』
カインはアーレンの事を考えている。
上位魔人のもとにカインは到着した。そこにアーレンもいる。
「アーレンさん」
直ぐにカインはアーレンのもとへ駆け寄った。
「カイン、目覚めたんだな…」
「…いや違う」
「危険だ、逃げろカイン!」
喜びを我慢してアーレンはカインに呼び掛ける。アーレンは傷付いていた。カインが来るまでの間、上位魔人がスキルのないアーレンを一方的に甚振っていたからである。
「アーレンさん…」
傷付いたアーレンを見てカインは怒りが込み上げた。直ぐにアーレンを回復させる。
「また玩具が増えたね」
「魔人は人間を玩具にする、人間は魔人の玩具になる」
「生まれた時から決まっているのに人間はスキルなんて力で抵抗する…」
「スキルなんて人間には過ぎた力だよ、身の程を弁えな」
上位魔人がカインに語り掛けた。カインは怒りが収まらない。
「アーレンさん、あれは僕に片付けさせて下さい」
カインは立ち上がり、上位魔人のほうを向いた。
上位魔人はニヤニヤと笑いながら歩いて近づく。カインも静かに近づいていった。
「無茶はよせ、カイン!」
「大丈夫ですアーレンさん」
穏やかだが力強いカインに圧倒させてアーレンは動けない。
「どうやって壊そうかな~」
「そっちの玩具みたいにゆっくり壊していこうかな~」
「助けに来た!と思ったら何も出来なかった!も面白いな~」
上位魔人はカインとの力の差を確信している。
「よし決めた、今度は直ぐ壊す!」
突然、上位魔人はカインに襲い掛かった。カインは攻撃を真面に受ける。しかし上位魔人による全力の攻撃でカインはたじろがなかった。
「あれ?」
上位魔人は状況を理解できない。
『魔法持ちのカインが魔人の攻撃で…』
アーレンも驚いている。
「うぉー」
カインは思いっきり上位魔人を殴り飛ばした。それから直ぐにカインは上位魔人のもとへ向かっていく。上位魔人は起き上がった。
「身の程を弁えろ!身の程を弁えろ!…」
上位魔人は同じ言葉を繰り返す。カインの思わぬ反撃で取り乱していた。カインは懐からナイフ二本を取り出す。
「我に従う雷の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ雷の二刃を与えよ、サンダ・ツインブレイド」
カインの魔法でナイフ二本の刃が雷の刃に変わった。カインの魔法を見て上位魔人は呆然としている。
「僕は上位の魔人、人間なんかに…」
「うるさい!」
「たまたま持って生まれた能力に胡坐かいてるだけのくせに…調子に乗るな!」
「サンダ・スラッシュ!!」
カインは剣と魔法による三重の雷斬撃で上位魔人を斬り裂いた。
「僕は上位の魔人…」
上位魔人は呟く。そして魔石となった。
上位魔人とともにいた魔物がカインに襲い掛かる。
「サンダ・スラッシュ」
カインは雷斬撃で難なく魔物を斬り裂いた。
アーレンはカインの力を目の当たりにする。
「その力は…」『いや、今はそれどころじゃない!』
驚く気持ちをアーレンは切り替えた。町に散って残った魔物をカインと回復したアーレンは討伐していく。そして全ての魔物を討伐した。
『気付いた人は個別で回復したけど…』
『念の為に町の人を範囲でまとめて回復しておこう』
傷付いた者がいればカインは漏れなく回復したい。回復して被害者を最小限に抑えた。