異質な魔人
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
多くの魔物をアーレンは魔石にした。しかし疲弊している。
「一体どれだけの魔物が…」
アーレンは呟いた。
今までとは異質な魔人が他の魔物を引き連れてアーレンの前に現れる。アーレンは剣を構えた。そして警戒する。
「生意気な人間がいるようだね」
「人間にスキルなんて過ぎた力なんだよ、身の程を弁えな」
魔人が語るとアーレンは体が重くなった。
『何だ、何が起こった?』
何が起こったかアーレンには分からない。しかし、魔人を放っておく事は出来なかった。アーレンは魔人に斬りかかる。
『遅い、何だこの遅さは…』
神速を持つアーレンの動きにキレがない。今まで培ってきた体の動きも早さもアーレンは再現できなかった。
「気を付けないと人間は簡単に壊れちゃうからな」
魔人は容易にアーレンを待ち構える。そして軽くアーレンの斬撃を振り払う。
「くっ!」
アーレンの斬撃が魔人に通じない。カインと出会って魔法の鎧を身に付けるようになってからアーレンの斬撃が敵に通じなかった事は竜に対してだけである。
「人間は魔物の玩具、壊して遊ぶ玩具なんだよ」
「どんな風に壊すか考えて遊ぶんだけど…」
「簡単に壊したらつまらないよね~」
体勢を崩して立て直すのにモタつくアーレンの腕を魔人は掴んだ。
「それ~」
「ぐぁ!」
魔人はアーレンを投げ飛ばす。
『この程度…どうという事ないはずなのに…』
アーレンは強靭のスキルを持っていた。熟練度は高くないが多少の攻撃ならば平気のはずである。しかし投げ飛ばされた衝撃で全身が痛みに支配されていた。
「我に従う癒の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ高位の治癒を与えよ、ハイ・ヒール」
アーレンは魔法で自身の回復を試みる。しかし回復魔法が発動しない。
『魔力が足りない?』
「我が魔力を糧として我へ治癒を与えよ、ヒール」
やはりアーレンの回復魔法は発動しなかった。
アーレンの様子を魔人は眺めている。
「魔法というやつかい?」
「無駄だよ、人間にスキルなんてものは使えない」
魔人はニヤリと笑った。
「僕は上位の魔人、人間だけじゃなく魔物や下位の魔人も操るんだ」
「そして何より…人間のスキルを使えなくする」
「操るのとは違った遊び方が出来るんだよ」
上位の魔人は自分の力を説明する。
『スキルが使えない…』
自分に起こった事をアーレンは理解した。