帰宅
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
ファイアンド軍の侵略による戦争が終結した後、アーレンはナイトラン家へ戻った。
「うっ、うっ、うっ、…」
「父さーん!」
ディアナとアベルはガルドの亡骸を前にして泣いている。そういう事もあり得る仕事だとディアナは覚悟していた。それでも涙を抑えきれない。
まだカインは目覚めていなかった。
「カインはどうしてしまったの?」
ディアナがアーレンに聞く。
「カインは魔力切れの状態になっています」
「持っている魔力を使い切って戦争を終結させてくれました」
アーレンはディアナに説明した。
「戦争を終結?」
「そんな事…一人の力で出来るものなの?」
説明を聞いてもディアナには信じられない。信じられなくても仕方のない事だった。戦争の終結はそれ程の事である。
「普通の人間には出来ないと思います」
「でもカインは魔法持ちなんです」
「誰にも傷付いてほしくない…そんなカインの魔力の波動を感じました」
「その結果、膨大な魔力を使い切って魔力切れの状態になったんだと思います」
アーレンは説明を続けた。
「僕も感じた、アーレンさんの言う魔力の波動か分からないけど…」
「怪我を治してくれた時みたいに兄さんを感じたよ」
回復してもらった事のあるアベルは納得している。
「やっぱり兄さんは凄いや、誰にも出来ない事が出来るんだもん」
『それでも父さんは…』
アベルの目には涙が滲んでいた。