火の精霊
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアーレンはファイアンド国にいる。既に二人はファイアンド国の様々な場所を巡っていた。
「どこに行きましょうか…」
カインはアーレンへ話しかける。
「サンダランド国へ向かって下さい」
「うわぁ!」
火の精霊が答えてカインは驚く。いつも突然に精霊は現れ消える。
『いつも突然だから慣れたと思ってたけど気を抜いてたな』
カインは気を抜けない。
「サンダランド国…どうしますかアーレンさん」
次こそカインはアーレンへ話しかける。アーレンは俯いていた。
「アーレンさん?」
「あぁ、すまないカイン」
アーレンはカインに答える。
「どうしてもサンダランド国へ行かなければならないのか?」
アーレンは火の精霊に聞いた。
「戻り辛いとは思います、ですが戻って下さい」
「お二人の為でもあります」
火の精霊はアーレンを説得している。
カインは横で聞いていて"二人の為"という火の精霊の言葉に気付いた。
「二人の為というのはどういう事ですか?」
カインが火の精霊に聞く。
「お二人は魔竜を…実際には魔人ですが、討伐しましたよね?」
「それをファイアンド国の王に知られてしまったんです」
「国王は竜をも倒せるお二人を危険と判断して処分しようとしています」
火の精霊は二人に事情を説明する。
「そんな…国に被害を出すであろう魔竜を討伐したら処分するなんて…」
カインには信じられなかった。カインはアーレンのほうを見る。
「そう考える権力者がいるのも事実だ、悲しいけれど」
「そんな…」『どうして…』
アーレンの言っている事がカインには想像できなかった。しかし疑ってはいない。
アーレンが顔を上げる。
「仕方がない、サンダランド国へ行こう」
アーレンは覚悟を決めた。
「戻り辛いという事は…」
「アーレンさんがサンダランド国の出身という事じゃないですか?」
「家を出たから戻り辛いんですよね」
「僕もウィンダンド国にいられなくてファイアンド国に来ました」
「…大丈夫なんですか?」
カインはアーレンを心配している。ファイアンド国へ来た理由はカインもアーレンと同じだった。カインの問いにアーレンが頷く。
「大丈夫だ、カインが一緒にいてくれるんだろう?」
アーレンはカインを見つめる。
「はい!」
カインは力強く答えた。火の精霊は既にいない。