町の外
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
次の日、カインは町を出て広い場所に一人でいる。周りに人はいない。
「我に従う火の精霊…」
「我が魔力を糧として其処へ火を与えよ、ファイア」
カインの魔法で想定した場所一面が火で覆われた。
『ふんふん…うーん』
自分で使った魔法の結果を見ながらカインは考える。カインは火を消した。
「我が魔力を糧として彼へ火を与えよ、ファイア」
再びカインの魔法で想定した場所一面が火で覆われる。対象を場所に変えても魔法の結果が同じだった。
『其処だと彼と変わらない…』
『…場所を対象にするのは場所という自分以外を対象にしているって事か』
カインは結果を分析する。面白い結果は得られなかった。
カインは考え方を変える。
『場所自体じゃなくて…』
『その場所を範囲として範囲内に魔法を発動させられないかな?』
『個別には対象としない感じ…』
魔法発動の仕方をカインは変えたい。
「我に従う土の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ多くの土を与えよ、メニ・ソイル」
カインの眼前に魔法で数えきれない土の塊が浮かぶ。
「我に従う火の精霊…」
「我が魔力を糧として其処で火を与えよ、ファイア」
魔法でカインの眼前にある土の塊それぞれが火で燃えた。
「よし!」『上手くいったぞ』
『"彼ら"みたいに対象を指定しなくても範囲でまとめて魔法を発動できる』
カインは新しい魔法発動の仕方を得る。
「我が魔力を糧として我へ多くの火を与えよ、メニ・ファイア」
魔法でカインは数えきれない火に囲まれた。
「我に従う水の精霊…」
「我が魔力を糧として此処で水を与えよ、ウォータ」
魔法でカインを囲む火それぞれに水が掛かかって消える。
「冷たい…」『でも上手くいった』
『"其処"は自分のいない範囲、"此処"は自分のいる範囲、だ』
新しい方法で魔法を発動させたカインは水が掛かって濡れていた。