路地裏
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
ナイトラン家へ向かう途中でカインは町に立ち寄る。
『ここってリックさんとレイリアさんの孤児院がある町だよな』
カインは孤児院の事を思い出していた。
とりあえず道具屋でポーションを納品してカインは路銀を稼ぐ。道具屋を出てカインは道を歩いていた。
『子ども…達の声が聞こえる』
声がするほうへカインは向かう。
カインが物陰から覗くと路地裏に数人の子がいた。大人はいない。
『何をして…いじめ!?』
一人の男の子を他の子達がいじめている。その時、一人の女の子が現れた。
「何をしているの、あんた達!」
「何だよ驚かせやがって…お前も孤児院の奴じゃねーか」
「親無が偉そうにすんな!」
いじめっ子の一人が女の子に迫る。
「レイリアに手を出すな!」
いじめられていた男の子がいじめっ子を抑え込んだ。
『レイリア?』
知っている名を聞いてカインは驚く。
「離せよ!離せよ!」
いじめっ子達は暴れた。しかし男の子は離さない。
『これも見る以上の事が出来ないのか…』
カインは悩む。
「二人に何してんだよ!」
更に数人の子が現れた。孤児院の子達である。男の子がいじめっ子を離す。
「大人数で卑怯だぞ、母さんに言いつけてやる!」
いじめっ子達は身勝手な事を言いながら逃げていった。
「何でやり返さないのリック!」
「あんな奴らに負けないでしょ?」
レイリアが男の子を責める。男の子はリックだった。
「だって俺には親がいないから…」
「いじめられる側にも原因がある?」
「でも、いじめられる筋合いなんてないわ!」
はっきりとレイリアはリックに言い返す。世に言う「いじめられる側にも原因がある」がいじめられても仕方ないという意味であってはいけない。
「それはそれとして…さっきはありがとうリック」
「俺のほうこそ、ありがとうレイリア」
レイリアとリックは礼を言い合う。
「皆もありがとう」
リック達は路地裏を去っていった。