エルトザームについて
魔法の属性を考えるのに時間がかかりました。
手合わせをした次の日から、この世界の文字や、通貨の単位、ハンターズギルドの事など、これから旅をするにあたって必要と思う事を学んで行った。
まずは文字。字数は日本語のひらがなと同じで五十音だった。漢字やカタカナに当たる物は無いので、字の形そのものを覚えるだけで済んだ。
次に通貨は世界共通で単位はゴルト。銅貨(1ゴルト)、銀貨(100ゴルト)、金貨(1万ゴルト)の3種類で、銀貨1枚=銅貨100枚、金貨1枚=銀貨100枚。価値としては、銅貨1枚=100円、銀貨1枚=1万円、金貨1枚で100万円程らしい。
ハンターズギルドは、よくファンタジー物に出て来る所謂、冒険者ギルドだ。民間人等から有料で依頼を受け、ギルドに登録されたハンター=冒険者たちに斡旋する。登録は誰でも出来る上、身分証にもなる。旅の資金を稼ぐにはもってこいだろう。
最後に魔法。魔法の種類は熱魔法、空魔法、天魔法、地魔法の4種類で、属性は熱系統が炎と氷、空系統が風と音、天系統が水と雷、地系統が土と重、あと光と闇の計10属性。
因みに、使用可能属性を簡単に調べる方法が有ったので試してみた所、ボクが使える属性は闇と光を除くすべての魔法系統だった。ボクの魔導器とそれに宿る氷竜の氷雨と炎竜の炎牙は、炎と氷の属性を持つ二頭の竜の一部で、この国からは遠く離れた山脈の中に本体が住んでいるのだとか。(グローブとレガースは本体の鱗で作られたそうだ)それから光の属性は聖職者、闇の属性は主に高位の魔族が使う属性で、人間で適正のある者は極々稀、なんだそうな。竜の中にも、光竜と闇竜が居るらしいが。光と闇以外は地球の知識でも説明出来そうだな。
これらとは別に、時間と空間に作用する魔法もある。もっとも、消費が激しいらしく、広範囲に影響を及ぼそうとすれば、例え魔力の強い竜族や魔族であっても、命と引き換えになりかねないので、現在は主にカバンなどの小物類に術を掛け、無限に物が入るようにしたり、入れた物の時間をとめて劣化しないようにしたりするのに使われている。それでも使い手は少なく、この術の掛かった品物は大変高値で取引される。通称「時空魔法」と呼ばれてる。
そのほかいろいろな事を部屋付きのメイドさん(メイドだけど、魔術師でも有るって人)に教えてもらって、この世界に来た時に持っていたカバンの中に入っていたノートに、昔遊びで造った暗号を用いてメモして行く。別に暗号じゃなくてもいいかな、とは思うんだけど、まあ、なんとなく。
因みに明良はココには居ない。王女さまが明良の事を気に入った、とかで呼び出されて行ってしまった。何でも国でも一、二を争うほどの腕のいい魔術師でも在るらしく、今回の勇者の同行者にもなるのではないか、と云う事らしい。
まぁ、ボクには関係無いか。どうせ一緒には行かないんだし。
どう云うことかと言うと、ボクは地球に戻るのを諦めた訳ではない、ってこと。魔王退治を了承したフリをして、戻る方法を探すつもりなのだ。明良には一応の言い訳として、二人で固まって居るより分散した方が効率も良いだろう、と言っておいた。