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ニンテス 2

大変遅くなりました。

「“撃ち落とせ”【ドンナー】」


唱えた呪と同時に起きた小規模な落雷に打たれ、声すら上げずに地面へと落下する大きな影。

それは‘ロックバード’と云う大型の猛禽類の姿をした魔物だった。


ロックバードは大きなものでは翼を広げると40~50メートルにもなり、魔法は使えないがその大きな体躯を生かしての遥か上空からの高速での体当たりや、3000メートル級の山脈を苦も無く超える強靭な翼から繰り出される暴風攻撃などで、ギルドが定めたランクはCランクとなっている。(ちなみに夕也が以前倒したスライムはEランク、ウルフと野生ビーはE+ランクである。)


地面に叩き付けられたのと、落雷による痺れからピクピクと痙攣したまま動けないでいるロックバードに近づいた夕也は、その翼から風切り羽を数本引き抜き、ナイフで首に殺してしまわない程度の傷を付けて預かってきた小瓶に傷口から滴る血を採取した。そして、数歩後ずさりロックバードに止めを差すために再度呪を唱えた。


「“切り裂け”【ヴィント】」


魔法が発動し、一刃のカマイタチがロックバードの夕也の胴ほどもある太い首を両断し、一瞬の後にその体は消え失せ、後には結晶のみが残された。


魔物はその命が終わると結晶を残して消滅するため、皮や羽といった素材の収集は生きたまま行う必要があった。その為、魔物の体からの素材の収集は難易度が高く、特にロックバードの様な空を飛ぶ相手はすぐに逃げられてしまうため、魔物の体の一部を使った装飾品などは非常な高値で取引されることもある。

その為、夕也は雷で痺れさせる方法を取り相手の動きを封じ込める事でこれをなしたのだが、ロックバードは魔法に対する耐性が強く夕也程の魔力の持ち主であって初めて可能な事であった。


ロックバードの結晶を拾い上げ、風切り羽や血液の入った小瓶と共にリュックにしまった夕也は、ニンテスに向かって山を下りて行った。



夕也がなぜこんな所でロックバードと戦っていたかと云うと、それは2時間ほど前に遡る。



夕也が帰還魔法に関する話を終え、最初の目的であった時空魔法の話を切り出すと、レイチェルは少し考えるような沈黙の後こう云った。

「袋物に…魔法を掛けても…良いのだけれど…、もっと…便利な物は…欲しくない…?」

「もっと便利な物?」

「本来は…闇の精霊の契約者でしか…行うことの出来ない『闇』の行使が…可能になるの…。『闇』を触手のように伸ばして…、体から離れた場所にあったり…広範囲に散らばっていたりする物を…一瞬で異空間の中に収納する…、と云う物よ…」

「そんな物が在るんですか?」

「ええ…、あまり他人には…知られたくないから…、他の人には…内緒にしてね…」

「はぁ、で、対価は?」

「ニンテスから…少し離れた所に…ニブル…と云う山が在るのだけど…、その山頂付近に…最近ロックバードと云う魔物…が住み着いたの…。ロックバードの…風切り羽と血液を…採取してきて欲しいのよ…」

「魔物の体からの採取って出来るんですか?結晶になってしまうのでは?」

「生きている間に…採れば大丈夫…。採取している間に…暴れられない様に…、動きを封じる必要…はあるけどね…」

「殺さない様に、でも動きは封じる様にって事ですか。加減が難しそうですが、やってみます」

「よろしくね…。その間に準備しておくわ…。ニンテスからニブル山までは…徒歩で2時間程掛かるわ…。そのことも踏まえて…、準備をしていってね…」


レイチェルからの忠告を受け、商店街に立ち寄った夕也は携帯食と水を入れた水筒を購入し、ニンテスを後にした。


こうして夕也はニブル山へと出発することになったのだった。


夕也の持ち物:アイスレガース・フレアグローブ・ナイフ・革袋・布袋(3枚)・傷薬(5個)・毒消し(3個)・携帯食・水筒(水入り)

所持金:2195ゴルト(銀貨21枚 銅貨95枚)

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