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街道にて 1

お待たせ致しました。

王都を出発した夕也は朱い煉瓦を敷き詰めて造られた街道を具現化している炎牙と氷雨と共に次の町を目指して歩いていた。


この街道は通称を「赤の街道」といって、「通じていない所は魔族の住み処位」と言われるほど、エルトザーム全体に網の目の様に張り巡らされている。

この道を造る時に使われた朱い煉瓦には、魔物避けの術式が刻まれている為、低級の魔物なら街道の上にいれば襲われる事がない。さらに、分岐点には標識も有るので、この道に沿って行けば迷う事が無いのだ。


もっとも、魔物避けに関しては現在、夜間は余り効果が無いようだが。


街道は各国にある「魔術師連盟」通称〈箱庭〉に依って維持・管理されている。

〈箱庭〉では、ハンターズギルド等からの街道への魔物の侵入の報告を受けて、メンバーが総出で点検を行ったが、術式の不備は見つから無かった。この事も「魔王出現」の証とされている。


以上、スライム分の報酬を受け取りに行った時、雑談ついでにギルドの受付嬢から教えてもらった情報である。


「たしか、魔物の力が上がって魔物避けが効かなくなってるんだっけ」

【であります。】

【前はこの術式で、ウルフやビーなんかは夜間もちゃんと防げてたっすけど】

【魔王は居るだけで魔物の力を増幅させるであります。なぜなら、魔王とはこの世界の「負」の力が具現化した存在だからであります。その上、夜間は光の力が弱まり闇の力が増す時間でもある為、ますます魔物の力が上がるでありますよ】

【「負」の力は一定の量に達すると、一箇所に集まる性質を持ってて、その集まった「負」が固まって自我と強大な魔力を持って魔王になるっす。で、「負」の力の化身である魔王を倒してこの世界の「負」を浄化するのが勇者なんすよ】

「へぇ、だから何度倒しても、また現れるんだ。…ん?じゃあ勇者が異世界の人間である必要性は?」

【特にないでありますね】

【多分、自国の戦力を費やすより、異世界から呼んだ人間を使う方がお得って感じじゃないんすか?なんか、勇者を出す順番とか決まってるっぽいし】

「前回の勇者はこっちの国から出たから、今回はあっちの国って?」

【そっす】

【勇者を出す国と魔王の出現する国とは必ず一致する訳ではないでありますからね】

「…それならボクが積極的に動く必要はないね。基本方針はあくまでも地球に帰る方法を探すこと。魔王や魔族に関しては、向こうから襲って来たら迎撃するって事で」

【了解であります】

【んじゃオイラ達もそのつもりでいるっす】


「あ、そう言えば」

【【?】】

「能力の説明の時に翼を具現化させて空を飛べるって言ってたけど、どうすれば良いの?」

【今はちょうど周りに誰も居ないので、歩きながら練習するでありますか?】

「うん、流石に宿の部屋では練習出来ないしね。使えたらいろいろ便利だろうし、今のうちに習得しておこうか」

【ではまず、マスターが想う翼を想像するであります】

「…ん」

【出来たら次は、その翼がマスターの背中に顕れる様を想像するっす】

「・・・出来た・・・ん?」


ばさぁ


【おお!一発で成功であります!】

【わぁ、赤と青の皮膜の翼っす。オイラ達と似てるっすね】

「(ほんとに出た・・・)まぁ、君達の姿を想像したからね。でも、これで本当に飛べるの?」

【翼そのものの力で飛ぶわけでは無いでありますよ】

【翼の周りに風を集めて、それを浮力に変えるんす。云わば制御装置兼舵の役目っすね】

【さっそく動かして見るでありますよ!】

「うん。・・・よっ!」


バサッバサッ  フワッ


「うわ!浮いた!」


言われた通り、翼を大きく動かして見ると足が地面から離れるのが分かった。


「へぇ、面白いな。これ、時間制限とかあるの?」

【マスター次第っすね。魔力じゃなくて体力で動かしているから、疲れを感じたら降りたほうが良いっすよ】

「わかった。気を付けるよ。・・・よっと!」


動かしていた翼を止め、地面に降り立った夕也は翼を消し、前方を睨んだ。

「って言ってる内に魔物のお出ましだ」

夕也の持ち物:アイスレガース・フレアグローブ・ナイフ・革袋・布袋(3枚)・傷薬(5個)・毒消し(3個)

所持金:290ゴルト(銀貨2枚 銅貨90枚)

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