買い物
地球からカバンを持って来ていたのをすっかり忘れていたので加筆修正いたしました。
スライム20匹分の結晶をギルドに渡し、スライム分の依頼の完了報告と換金を済ませ、400ゴルト―銀貨4枚―を手に入れた夕也は、商店街へと来ていた。
「さて、まずは…武器屋でいいのかな。ギルドと提携してる武器屋は…あそこか」
旅の途中で必ず必要になるであろうナイフを見てみる事に決め、ハンター証を見せれば三割引になる、ギルド提携店に入る。
-カランッ
「いらっしゃい」
ドアベルが鳴り、店主であろう髭を生やした初老の男性が声を掛けて来た。
「何をお探しかね?見た所、拳闘士のようだが」
「小振りのナイフを探してるんですけど、有りますか?」
「用途と予算は?」
「野宿の時の包丁替わりとか、藪を払ったりとか。20ゴルト位までで」
「ふむ、それなら…」
夕也の話を聞いた店主は5本のナイフをカウンターの上に並べた。
「この5本が今この店に在るので、条件に合う奴だよ。この4本が15ゴルト、これが20ゴルトだ。あとは実際に握ってみて自分に合うのを選んでくれ。因みに値段の違いは刃の長さと厚さの違いだ」
早速、端から順に握ってみると、それぞれ微妙に柄の造りが異なっており、持った感触も違うのが分かった。さらに、20ゴルトのナイフは他のに比べ、少し大きかった。
「じゃあ、これで」
「まいどあり。他には何か要らんのかね?」
15ゴルトのナイフの内の1本に決め、その事を店主に告げるとこう言われたので、ついでに他の必需品も揃えてしまう事にする。
店の中を一通り見て回り、サイフ代わりにする為の頑丈な革製の袋と結晶等の小物を入れる為の布袋を3枚買う。
「ナイフも含め、合計49ゴルトだね。ハンター証は持っているね?なら・・・三割引の35ゴルトだ」
「じゃあ、銀貨1枚で」
「はい、お釣り65ゴルト。まいどあり」
買ったばかりの財布に、銅貨65枚と銀貨3枚をしまってリュックに入れ、背負う。
このリュックは通学時に使っていた物なので、結構大きい上、夕也は普段から学校に教科書類を置いておくタイプだったので、入っていたのはノートと筆箱だけだった。
「ナイフの研ぎなんかも遣っているから、用事が出来たらまたおいで」
店主の言葉にペコリッとお辞儀をして、店から出た。
・・・・・・・・・・・
『マスター』
(ん?)
『他にも何か買うものが在るでありますか?』
『さっきからいろんなお店覘いてるっすね?』
(うん、毒蜂と戦うなら毒消しとかいるかなぁって思ってね。どうせ買うなら安い方が、と思ったんだけど何処も同じ値段なんだね。価格競争とか無いのかな)
『毒消しとかの薬類は、確か神殿が独占的に生産していたはずであります』
『仕入れ値が同じだから、売値も一緒になるんじゃないっすか?』
(へぇ、キミ等ってそんな事まで知ってるんだ。てか、どうやって仕入れてくるの?そう言う人間社会の情報)
『ウロコで在っても本体との繋がりは切れないのであります』
『オイラ達の本体は竜族の中でも変わり者で、しょっちゅう人間に変身して街に下りてるんす』
(成る程、本体から情報が送られてくる訳か。・・・ギルド提携店ってその辺どうしてるんだろ。値引きしてる分儲けは少ないだろうに。薄利多売ってことかな?)
『多分、そうじゃないかと思うであります』
(ふ~ん。じゃあ、提携店にお世話になろうか。ちょうどあそこにあるし)
『傷薬も何個か買っておいた方が良いっすよ。マスター回復術使えないし』
『光竜と契約を交わせればマスターでも使えるようになるで有りますがね』
(わかった)
・・・・・・・・・・・
結局、傷薬5個 (@15ゴルト)と毒消し3個 (@5ゴルト)を買い、三割引で63ゴルトだった。途中で定食屋があったので、お昼ご飯にした。
「これで残り290ゴルト。隣町のニンテスまでは街道を歩いて2時間ほどらしいから、途中で狩りをしたとしても日暮れまでには充分着くね」
『いよいよ、出立でありますか』
『わ~、楽しみだな~』
「よし、それじゃあ、行こうか」
『『了解(~)!』』
※念のため。(@~ゴルト)は一個辺りの単価を現しています。
夕也の持ち物:アイスレガース・フレアグローブ・ナイフ・革袋・布袋(3枚)・傷薬(5個)・毒消し(3個)
所持金:290ゴルト(銀貨2枚 銅貨90枚)