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君を悲しませるつもりはなかったんだ。

作者: 七瀬
掲載日:2021/09/09







【どうか、僕の為に泣かないでほしい】



僕は、心の中で想っている事と彼女に言った言葉が違う

事に躊躇いながらも、あの時の僕はそう彼女に言うしかなかった。




『ミチルとは、もう付き合えない! 他に好きな女がデキたんだ

ミチルよりもイイ女なんだよ』

『・・・急に何で? そんな事いう人じゃないよね? どうしたのよ

嶄らしくないじゃない!』

『もう、その女とは体の関係もあるだ! 彼女のお腹には俺の子もいる』

『えぇ!?』

『こんな奴の事は直ぐに忘れて、いいひと探せよ』

『・・・ヒ、ヒドイよ、』

『そうだな、酷い男だな、』

『・・・・・・』





・・・彼女が最後にそう言うと? その場に泣き崩れてしまった。

あんなに泣いている彼女を見るのは僕も初めてだ。

彼女は僕よりもしっかりしていて、芯が通った女性だったから。

嬉し泣きや悔し泣きは、何度か僕も目の前で見た事があったが、

こんな泣き方をした彼女を見るのは初めてで凄く見てるのが辛かった。




僕だって! こんな事を言えば彼女が泣くのは分かっていた。

でも、言えなかったんだ。

僕の余命が後、“半年しかない事を...。”

僕も突然知った事だったし、家で一人の時に突然めまいに嘔吐

その後、少し体調が良くなって念のため、病院で診てもらう事に

したら? 検査の結果! 『大腸がん』だと判明した。

しかも? 余命半年と医師に告げられる。

僕の頭の中は、真っ白になり何も考えられなかった。

その日は仕事を休み、家で一人で考えていると、、、?

彼女の事が浮かんだ。

僕の病気の事はどんな事があっても、彼女にはバレたくない。

バレるぐらいなら、何らかの理由で別れた方がマシだと!





それで、僕は彼女に【噓】をついて別れる事にしたんだ。

勿論! 彼女は僕が彼女と別れる理由に全然納得していなかった。

でも、浮気相手の彼女に僕の子供を身ごもったといったら?

彼女は、しぶしぶだが納得せざるをえないだろう。

彼女は僕の性格を僕以上に知っている。

僕が、簡単に浮気するような男でない事も。

ふらふら、他の女の子に目移りするような男じゃないし

ましてや、他の女性と体の関係なんかもてるような男じゃない事まで。

それでも、相手の女性が身ごもったといえば? 彼女も信じたくない

だろうけど、そんな事も起きてしまったのかと思ったに違いない。





 

 *




・・・あれから1ヶ月。

僕は彼女と会っていないし、連絡も取っていない。

これで良かったんだと、今の僕はそう思う。

既に、僕の体は癌に蝕まれておりもう治す事は不可能になってしまった。

彼女と別れて直ぐに入院すると? 僕の体はみるみるうちに衰えていき

何の希望もない治療に僕は死を考える事も多々あった。

たった一つの支えであった彼女も、もう居ない。






・・・僕の癌が悪化して危篤状態になった日の朝。

僕は山場を越え、何とか意識を取り戻して病室のベットで目を開けると?

そこには、彼女の姿があった。

彼女は、涙を流しながら僕の手をギュッと握ってこう言った。



『良かった、もう目を覚まさないかと思ったわ』

『・・・ご、ごめん、』

『もういいわ! 今は喋らないで、ゆっくり休んで。』

『・・・ううん。』





この日から、彼女が僕のお見舞いに毎日来てくれるようになった。

何故? 彼女が僕の病気の事を知ったのか?

彼女が、僕の母親に直接連絡したらしい。

ココでは、言ってなかったが僕の母親と彼女は凄く仲が良かったのだ。

彼女とは結婚も考えていた為、母にだけ彼女を会わせていた。

そこから、僕の知らないところで二人で会う事もあったらしい。

彼女が病室で、僕にこう聞いた。



『何故? 話してくれなかったの?』

『言いたくなかったんだ、こんな姿見せたくないだろう。』

『だから、あんな嘘ついたんだ』

『・・・ううん。』

『もう、謝っても許してあげない!』

『えぇ!?』

『これからは、私が嶄を支えになるから。』

『・・・ううん、ありがとう。』

『だから! もう私に噓つかないでね!』

『あぁ、分かった』

『うん!』






・・・でも? 僕は結局彼女を悲しませてしまった。

僕が彼女に看取られながら死んだ事で、また彼女を泣かせてしまう。

それでも、彼女にとっては良かったのだろう。

僕の為に泣き止んだ彼女の目は、前を向いていたから。

【ありがとう、君に支えられて凄く嬉しかった。】




最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] でも やっぱり 辛いなあ ぽそっとためいきをついてしまいました。
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