第73話 遂に…対峙の時⑨
涼也side
種橋「これを見せてどうしろと?」
俺達は、監視カメラの事は伏せて
美弥子さんの日記のみを
まず提示したんだ
涼也「この日の夜勤は、アナタでしたよね?」
うん。 認めるなんて思ってなかったけどね……
種橋「 冗談じゃないわよ! こんな憶測で嘘書かれて! たまったもんじゃないわよ!」
アナタはね、そう言うだろうけどね。もうね お年寄り達が怒ってるんだわ
《お年寄り達に心から謝罪して、心を込めて介護をして頂きたいです。施設の職員に望む事です》
もっと怒っていいはずの
るなちゃんと、ふうちゃんの要望が少し前に
倫さんから俺のスマホにメールで 送られて来たんだけどね……
涼也「富永主任…… この日記の事は、源本さんが判断されて施設長に話される事なので俺からは言いませんけど。この日記を必死に残された小野川さん、勇気を出して俺達に色々な事を話して下さった吉井さん。今も入院されている来栖さん。そして他の年寄り達の思いもしっかり受け止めて下さい。お願いします」
富永「……分かりました」
涼也「種橋さん…… アンタには何を話しても無駄だって分かりましたから……最後に一つだけ…… アンタいい加減にしろ! ふざけんな! お年寄りの人権を無視して尊厳を傷付ける様な事しか出来ないなら……この仕事するんじゃない! るなちゃんと、ふうちゃんが純粋過ぎる程に真っ白な心でお年寄りに向き合っている事に、アンタは嫉妬したんだろう? 人にとやかく言われるのが嫌いなアンタだから、俺に自分を否定されて頭に来たんなら、俺に嫌がらせをすればいいだろ! アンタのイライラを彼女達にぶつけんじゃねぇよ! ふざけんな! 何人ものお年寄りを傷付けて…… るなちゃんが身体を壊す迄追い詰めてっ! ふうちゃんは命を失いかけたんだよっ! …… 黙って様と思ったけど…… 俺達はともかく……お年寄り達の怒りは半端じゃないって事とだけは伝えとくよ!」
心紀side
一気にまくし立てたミクくん……
涙が溢れそうになったのか
席を立って画面に映らない様に
部屋の隅に向かって蹲ったミクくん
俺はミクくんの背中を黙って擦ったんだ
俺も涙が溢れて止まらなかった……
英士side
ここまで来て
ようやく事の重大さに気付いたらしい
種橋職員が青ざめている
英士「種橋さん……富永さん、施設の職員さん達。人には心があるんだ。種橋さん、地球はアンタだけの為に回ってる訳じゃないんだ。自分の言う通りに物事が動くのが当たり前。そんな気持ちでいたらいつか……身を滅ぼすよ」
種橋.富永「……」
別に最後通告してあげても良かったんだけどね
それは源本さんの役目だから……
冴多ちゃんが御厨くんを支える様にして
退室したから
俺も言いたい事は言ったし
固まってる二人を残して
応接室を 出たんだ……
第一応接室
倫side
倫「施設長、社長…… 娘達の想いは想いとして尊重してあげたいですけど……こちらの日記を書かれた小野川さんに、吉井さん。他のお年寄り達の想いがかなり強いんですよ。話を聞かせて頂いていると……」
涼也くんと、山乃くんに教えられた日記の存在
俺も小野川さんと、吉井さんに
話を聞かせて頂いたんだ
美弥子『ふうちゃんのお父様…… 私もあの日入浴 してたんです。すみませんでした。今の今まで何も声を上げなくて……るなちゃんが倒れた日も、悔しかった……悲ししかった……施設の職員と戦います。もう泣き寝入りはしないと決めました。警察に届け様と思います。私も証言しますし、お父様にも見聞きした事をお伝えします』
吉井『か、んし、カメ、ラ、に……しょ、うこ』
今日の話し合い遺憾では
考える余地はあるかなって思ってたけど
何の反省の色も
危機感も無いのに失望してた
施設長.社長『申し訳ございませんでした。きちんと調べて対処いたします』
それしか言わないのだから……
倫「先ほど『娘達の要望としてお伝えしたまでです。この先どの様に改善されるのか見させて頂きます。その上でその先の事は判断させて頂きます』そう伝えましたけど……すみません。実は。警察へ証拠の日記等の資料や、監視カメラの提出を既に提出させて頂きましたので」
様子を見てこの先の事を判断させて貰おうと思ったんだでも、この様子では絶対に 何の証拠も出てこないし真実を知る事も無理だとしか思えなくなって来て
入居者の方の想いを伝えても
どこか他人事の様に
聞いている態度が許せなくて……
決意したんだ……
こちらさんには資料と監視カメラの提出を希望しますって言ったんだけどね……
風歌
るな
相談もなしに悪かったけど……
警察に証拠を提出させて貰ったから……
よろしくお願いします