第72話 遂に…対峙の時⑧
介護施設 見守り室
英士side
~~回想~~
吉井「あ、れ」
英士.涼也「あれ?」
吉井さんが頑張って左腕を伸ばして
指差した先を見ると
英士『監視カメラ?』
吉井『う、うつっ、てる』
涼也『映ってる?』
瞬間、御厨くんが険しい表情をして……
小野川『 先月のはじめに、夜勤に施設の職員が入ったでしょ?』
その時 、デイルームよりも見守り室の方が居心地がいいからと
遊びに来ていた
入居者の小野川さん(女性)が言ったんだ
涼也『入りましたね』
涼也side
もし…… 俺達 、介護サービスの職員が疑問に思っている事を小野川さんが
話そうとされているのだったら……
英士『ねぇ、ゴメン。話に割って入って。風歌ちゃんが『夜勤は、内の会社の職員が二人で見ているの。看護は施設の看護師が入って』って言ってたんだけどさ』
涼也『元々、俺が入った頃は内の職員と施設の職員に看護師の体制だったけど、向こうさんが業務内容の改善で夜勤体制を変更したんですよ。色々あって内の会社の職員は皆、何かしら体調を崩したりとギリギリな状態や人数で頑張っていた訳。その日夜勤予定の内の職員が体調悪くて入れなくて……施設の職員が入る事になったんだけど……』
英士『なるほど……その日に何かが起きたって事?』
吉井『さっ、し、の……い、い、ボ、ウズ……た、ちだ、な』
涼也『でも、ゴメンなさい。俺の言い方施設側に対して思う事あるとはいえ、余り良い表現じゃなかったですよね』
小野川『いいのよ。御厨くんの言う事は正しいもの……』
涼也『美弥子さん……』
美弥子『私ね、簡単にだけど日記を付けてるのよ』
英士『日記?』
『7月○○日 雨 入居者皆落ち着かない。外の天気の様に不安定。夜勤に市の職員の〇〇が入った。サービス会社の成田さんが体調不良との事。風歌ちゃん、るなちゃんの顔を見なくなって半年近く……悲しい。これ以上サービス会社の職員さんが苦しめられない様に神に祈るばかり……急に夜勤に入る事になったのだろう。明らかに不機嫌。いつも以上に……一緒に組んでいる介護サービス会社の長谷川さんが可哀想だ……夜中長谷川さんの仮眠時間。一人で〇〇が見ている。入居者の一人が粗相をしたようだ『早く着替えなさいよ!』と怒鳴り散らす声が……手が不自由人なのだ……『いい加減にしてよ! 入れやすい様に足を上げてってば!』その瞬間、ギャーって叫び声が……朝になり施設長が『ベッドから落ちられた様で』と説明した。心配で様子を見に部屋を訪ねると不自由な右手に数ヶ所つねられた様な痣があった……』
英士side
英士 《……》
涼也『ベッドから落ちた怪我には見えないって……俺達は話してたんだ。長谷川さんは仮眠中で見ていないし。施設長は『夜勤に入っていた向こうの看護師からも『ベッドから落ちた状態でいたから、二人でベッドに上げて処置した』って報告受けてます』ってさ……張本人の職員の説明を鵜呑みにしたんだろうね……』
苦しそうな表情の御厨くん……
涼也『おかしい……って施設長にもその職員にも問い正したのに……やっぱりだ……』
クイックイッと吉井さんは左隣の
御厨くんの右腕
制服の袖を引っ張ると
吉井『だか、ら、あ、れ』
美弥子『証拠を映してくれてるはずよ』
そう言って監視カメラを指差したんだ……
涼也side
盲点だ……気が付かないとか……バカだ
もし証拠が映ってたら……
これ以上強烈な証拠は無いんじゃないか……って思ったんだ
よろしくお願いします