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第13話 それぞれの戦い⑤~涼也~

 涼也『オイ! 何やってんだよ! ふざけんな! 』


 なんでこんな事になったんだよ? ふうちゃんが何したってんだよ……


 市の職員達に対する憤り、怒り


 悲しい悔しい


 けど……何よりも、何で俺はふうちゃんを助けらんなかったんだよっ……


 自分自身への怒りが、 一番強く渦巻いたんだ……


 ──


 風歌『世の中の為になる仕事に就きたいな。介護の仕事をしたいわ』


 るな『頑張って働いて来たお年寄りに、感謝を込めてお世話してしあげたいな』


 すげぇな。ふうちゃんも、るなちゃんも。 高校生になったばっかだってのにさ、きちんと将来の事考えてんだ


 二人より、一つ上の俺だけどまだ将来の事を決めかねてるってのにな……


 世の中と、人の為になる仕事か…… 俺が、 福祉関係の仕事に就きたいと思った瞬間だった



 るな『私、 運動神経あまり良くないから、運転免許取るの怖いしな』


 風歌『私も。家の近くで。バスで 30分以内の介護施設に、 就職出来たらな』


 そっか、一足先に就職する俺が、ふうちゃんと、るなちゃんの 希望に叶った所に就職すればいいのか……


 3人で、この専門学校にしよう。 出来ればこの会社に入れたら良いよね? 


 色々話し合って、希望通りの専門学校に入って。大手で、名前も知られている介護サービス会社だから……決めた


 俺は就職した介護サービス会社が、業務委託を受け負う市立の養護老人ホームにて働く事になった


 直ぐに思い描いていた介護との、余りの違いに……いや仕事内容とかじゃなくて


 市の職員と、介護サービス会社の職員の立場の違い。とか。 施設内で当たり前に行われている事の


 余りの悲惨な惨状に


 俺はショックを受けたんだ


 -


 涼也『あれ、新川しんかわさんどこか行くんですか?』


『子供にご飯を作らなければならないから帰らなきゃなんだよ』


 涼也『 そっかもう夕方だもんね』


 認知症のお年寄りにとって、施設内の廊下を歩き回るにはきちんと意味があるんだ


 例えば 一日中歩いているおばあさんはさ


『子供にご飯を作らなければならない』


 おじいさんは


『仕事に行かなければならない』


 黄昏時と言われる夕方になれば


『子供を迎えに行かなければならない』


『夕飯を作らなければならない』


『家に帰らなければならない』


 その人その人の深い理由があるんだ


 涼也『新川さんは凄いね。 朝から晩まで働いて大変なのにさ。子供さんのご飯を毎日きちんと手作りしてさ』


『それが親と言うもんだよ』


 俺は、新川さん。入居者のおばあさんと一緒に歩きながら、ちょっとでも気持ちが他に向くキッカケは無いかな? って探りながら……


『御厨くん、○○ちゃんは一時間も歩いてるの。『家に帰る』しか頭に無いし。もう車椅子に乗せて!』


 涼也 《……》


 あり得ないだろう? お年寄りに向かって"ちゃん"呼びとかさ……


 車椅子に乗せて=車椅子の後ろに紐を付けて廊下の手すりに……


『拘束』


 お腹にベルトを巻いて…… 車椅子から立ち上がれない様に……


 なぜそのような事をされるのか分からないお年寄り達にとっては、恐怖でしかないよな


 大声で叫んだり泣いたり


 職員の都合を優先させるってマジあり得ないぜ


 ショックだった。その行為に慣れてはいけないんだ。その様な、施設ここだけだよな? ……初めに働いた所が、たまたまそういう施設であったと信じたいよ


 大多数の施設が、その様な事をしていないと言い聞かせて……


 慣れる事……受け入れる事なんて……納得が出来なかった……


 俺は人への優しさを忘れない! その様な人間でいようと固く誓って……介護の仕事にやりがいはある。俺は、お年寄りが大好きだから……








よろしくお願いします

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