第120話 少し先の夢見る未来⑤(涼也&るな)
2020年 秋
涼也の部屋
涼也「ねぇ、るなちゃん籍を入れる時期いつにしようか?」
るな「いつって……まだまだ、籍を入れるとか考えられないよ……」
そう答えた瞬間、リョウくんの驚いた表情の後の悲しげな顔……
だってね。リョウくん
涼也「どういう……事? 俺とは……結婚出来ないって事?」
違うよね? るなちゃん……
るな「違うの。私、家事とかこれから勉強しなきゃならないレベルだし……」
涼也「何だ。結婚してから少しずつレベル上げていけば良いんだしさ。俺から見たら、るなちゃんは料理とかも出来て……」
るな「少し出来る位じゃ……ママや、風音さん、夏輝さんみたいにもっと……何て言ったら良いの? 精神的にも大人にならなきゃ、リョウくんに甘えてばかりの私のままじゃダメだから……」
涼也「これからいろんな事を経験して、精神的に大人になっていくんじゃないの? それに、るなちゃんには甘えてもらいたいよ。俺」
るな「仕事にも復帰したいし……」
涼也「そんなさ、体調だってまだ万全じゃないしさ……仕事は、子供が授かって。少し手が掛からなくなってから考えれば良いじゃん。るなちゃんのわがままばっか聞いてたら、 いつ結婚できるか分かんないじゃん!」
ヤバい……言い過ぎた
るな「リョウくんだってわがままだよ。そうやって、 私の意見を全部ダメって言うんだもん! リョウくんの理想は、リョウくんの望む事を叶えてくる女性でしょ? だったら私は!」
──
翌日
介護施設 幸福園 《こうふくえん》
るな「来栖さん! 良かった……」
翌日、私は介護施設に遊びに来ていた
来栖「逢いたかったよ。るなちゃん」
そう言って泣いてくれた来栖さん。無事に回復して良かった……
──
るな「介護施設 幸福園として、新しく生まれ変わったのね。良かった……皆さんが心配でたまらなかったから」
美弥子「るなちゃん、どうしたの? 元気ないわね?」
るな「……リョウくんと初めて喧嘩みたいになってしまって……」
美弥子「涼也くんは、るなちゃんが可愛いくて仕方なくて。心配なのね。るなちゃんも涼也くんが大切で。喧嘩しながら、お互いに想いをぶつけ合いながら成長していけば良いのよ。夫婦は。もう一度話合って……ね?」
涼也side
吉井「か、ほご」
涼也「過保護?」
吉井「は、なし、あえ」
けど、 るなちゃんは可愛いから
吉井「わか、ら……ん、でも……ない、な」
って
意見が食い違って喧嘩になった時は、お互いに意地を張らずに
吉井「す、ぐ……はな、し、あえ」
吉井さんに、ありがたい人生の教訓を教えてもらったんだ
12月の定期検診で、 胃カメラでグッタリとなりながら頑張ったるなちゃんは
「ほぼ完治してます。良かったですね」
医者からのお墨付きをもらった瞬間、一緒に話を聞いていた俺に、一瞬抱き付いて
パッと離れると大号泣したんだ
本当に良く頑張ったね
るなちゃん
──
るな「リョウくん、わがまま言っていい?」
涼也「うん。何?」
るな「あのね、ふうちゃんと同じ日に入籍したいの」
わがままというか……可愛過ぎるお願いだよね。それ
もちろん俺は、いいよ。って答えて
こうして紆余曲折を経て
俺とるなちゃんは、賃貸マンションを借りて住み初めて
涼也「いつの日か、戸建か、マンションを買える様に頑張ろうね」
るな「うん!」
2021.2.14 に入籍したんだ
春-
るな「リョウくん、赤ちゃんを授かりました」
涼也「……ありがとう……るなちゃん……」
二人で涙して……
秋口に差し掛かるまで危惧していた通り
家事に、週三日の、介護施設 幸福園でのパートに、マタニティ教室にと
何事も一生懸命にさ……
風音さん、夏輝さんが無事に赤ちゃんを生んで
11月の終わり一月も早くにさ……
るなちゃんは、12月の暮れの予定日だったんだ……
るなちゃんが、少し体調を崩してしまった上に、せっかちな子なのか
早く世の中に出たいよ
ってさ、合図して来て……
赤ちゃんも少し小さいけど、出産しても大丈夫。と、お医者様に言われたから……
いつ容態が悪くならないとも限らない……からって……
万全な体制を整えてもらって
2021.11.26に
御厨英也
第一子の男の子を
るなちゃんは出産したんだ
英士さんの誕生日に
俺と英士さんの名前の一字をもらった奇跡の子供が
2日後、病院個室
月乃「るなちゃんおめでとう……」
るな「ママ……ありがとう」
風音.夏輝「るなちゃんおめでとう!」
るな「風音さん、夏輝さんがありがとうございます。これからも色々と情報を交換し合ったり、助けて下さいね」
倫「るな……良く頑張ったな……」
るな「パパ……」
風歌「るなちゃんおめでとう! 英士さんと、リョウくんから一字とって名付けたのね!」
心紀「誕生日も、英ちゃんと同じだしね」
英士「るなちゃん、一時は心配したけど……オイラの誕生日に、オイラの名前の一字を持つ子供を……さすがだね。パパさんは不満げだけど……」
涼也「不満なんて飛んでもない。さすが俺の子。奇跡を起こして凄いな。って思ってますよ」
風歌「きっと、えいやちゃんは強力な運の持ち主なのよ」
るな「うふふ。私もそう思うわ」
るなちゃんが、男の子なら
『リョウくんと、山乃さんの一字からとって名付けたい』
って、『わがまま』を言い出した時からね、何か他にもありそうって思ってたけどさ……
涼也『不満なんて飛んでもない。さすが俺の子。奇跡を起こして凄いな。って思ってますよ』
の、俺のちょっとした皮肉に、フワフワちゃん達は……
風歌『きっと、えいやちゃんは強力な運の持ち主なのよ』
るな『うふふ。私もそう思うわ』
そう取った訳ね
あ、フワフワちゃんてのは、心紀先生が名付けた、るなちゃんとふうちゃん。赤ちゃん達のあだ名ですがね
俺達、男性陣の中でブームな呼び方になった訳
涼也「るなちゃん、改めてありがとう。俺を父親にしてくれて。心が晴れの日も、曇りの日も、雨の日も、家族力を合わせて、頑張って行こうね。お互いに色々な事を話合って、一つ一つ乗り越えていって、幸せを築き上げていこうね」
るな「リョウくん、ありがとう。私を母親にしてくれて……あのね……」
泣いちゃったるなちゃん……
涼也「分かるよるなちゃん。俺と同じ想いって事……だよね?」
うん。と頷いたるなちゃん
そして……2年7ヵ月後の2024 6.17
親孝行な
御厨莉歌
第2子の女の子が誕生したんだ
俺の誕生日に
ふうちゃんの一字をもらった
奇跡の子供が
俺とるなちゃんの元に来てくれたんだ
俺
御厨涼也は
愛する るなちゃんを
愛しい 英也を
愛しい 莉歌ちゃんを
永遠に守るから
幸せになろうね
──
さて……
我が家の
奇跡のフワフワちゃん達にも負けない
奇跡を起こした
もう一組のフワフワちゃん達の
物語を
してもらいますかね……
よろしくお願いします