第17話 それぞれの戦い④~るな~
え? ビックリした……
食事介助の時に、介助する側の都合だと思う……市の職員がお粥の上になんと……薬を上にのせたの
思わず、近くで別のお年寄りの食事介助をしていたふうちゃんと 目を合わせてしまって
私は、桜王るな。 介護の専門学校に二年間、同い年の従妹の桜王風歌……ふうちゃんと通い(私は7月生まれ。ふうちゃんは1月)一緒に介護施サービス会社に就職したの
会社が委託を受けた市立の介護施設に、私達は勤める事になった
-帰宅後-
風歌『これはもう いじめの域を超えてない?』
るな『信じられないよ』
風歌『『食べなさい』ってお年寄りに言ったのよ?』
と言われても、口を開ける訳がないと思う
それで介護者が、お年寄りを怒るのはありえないでしょう?
可哀想で 見ているのも辛かった……
『アナタ達も、そのように介助しなさい』
と言われても……
同じ会社の、先輩の介護職員等が睨んで来たりしたのには
(それになぜ慣れてしまっているの?)
と憤りを覚えたんだ
私はなるべく初めにご飯に薬が混ざらない様に、薬だけをスプーンに乗せ口に運んで頂き、素早くお茶を飲んでもらって
その後少しでも美味しく食事をしてもらおうと…… ふと、ふうちゃんを見ると同じ様にしていた
『ねぇ、言った通りにしてくんない?』
──
体験しなければと……
風歌『ご飯の上に、風邪薬を粉々にして乗せて食べようとしたの』
るな『私も……』
もうほんの一欠片も ……米粒一つに一粒の粉が乗っていても飲み込める代物ではなかった……
──
涼也『 何回もお伝えしてますよね ? その様にして食べるのなんて無理だって。 同じ様にして食べてみて下さいよ。分かるから』
同じ介護サービス会社に1年前に就職していた、幼馴染の御厨涼也……リョウくんくん
なのに何故か、同僚達が
『波風を立てないで』
市の職員の、介護サービス会社の私達に対する横柄な態度に日頃は憤っているはずなのに……
-
私はリョウくんが、助すけてくれて嬉しかった……
ふうちゃんを想っている……リョウくん……
【風歌とるなの日記】
体制的に、介護依頼した施設と介護サービス会社では施設側の方が立場は上
なるべくお年寄りの残された機能を大切にお年寄りに出来る事をなるべくして頂く。その理念は分かる
介護を行う上で時に、お年寄りの抱える問題や様々な事に強く感情移入をしてしまう人間は心が苦しくなってしまう事がある
性格的にはさっぱりした人でないと厳しい現場なのではないか? と思う
しかしさっぱりというより、人に対しての物言いが上から目線なのはどうかと思うのだ
例えば右手が不自由なお年寄りに対して、入浴介助時に着替をして頂く際、右側の方の手に袖を通し左肩辺りまで通すお手伝いをして、お年寄りにご自分にて左手を袖に通してもらう
その際
『自分でさせて!』
ご自分で服を着られる方には 声かけのみ見守りで良い。しかし…… 麻痺の残る手でどのようにして、ご自分で着て頂けば良いというのだ……
そんな感じで色々な事に上から物を言ってくる。そんなタイプの人達が、介護施設側の職員に多くいたのだ。介護サービスの会社職員に対してきつく当たる。何より許せなかったのは
施設で暮らすお年寄り達への態度だ
皆様も、長袖シャツを着て長袖の服を着た際に中に着ているシャツの袖が、くしゃくしゃと捲られた状態であったらとても違和感を感じると思います
少しでも快適に過ごして頂きたい。不快感を感じないように、介助者が捲れた中のシャツを、手首の所まで伸ばして差し上げるそれを介助というのではないか?
『そんな事しなくていいから』
『自分でさせて』
先程と同じ事。不自由な方の手のシャツは動かせる手で直せても……患側の手ではもう片方のシャツを下ろす事は出来無いのだ
万事そんな感じ
食事も。靴を履くのも
ほんの少しだけ、お手伝いするのが介護
あなたたちのお年寄りに対して
『まだ出来ないの?』
『早く食べて』
『早く服着て』
『 何、おむつ外してんの?』
心の無い人になぜ介護という仕事を選んだのですか?
と問いたいです
お年寄りは人生の先輩です。人権を無視したような態度取る事は到底許されるものではないと思います
自分のイライラを相手にぶつける事程みっともなく、愚かな事はありません
納得行かなくてある日爆発しました。介護施設側の職員に反論の言葉を言ってしまいました
理不尽な事が大嫌いな質の性格な為、きっとこんな事を間違っている
という態度が目障りだったのかもしれません
挫折しそうです
沢山理不尽な事を言われ
理不尽な事を見て来て
心が折れてしまいました……
でも……
──
アナタ達ふうちゃんにした事許されると思う?
私は許さないから……
無かった事にしようとしているでしょ……
ふうちゃんと一緒に付けて来た日記…… ここには沢山証拠があるの
私も倫おじさんと、リョウくんと、冴多先生、山乃さんと協力しあって真実を…… あの人達に謝らせるからね……
ふうちゃん
よろしくお願いします