第11話 それぞれの戦い③~心紀~
心紀side
ふうちゃんに、紙芝居の挿し絵を描く約束をした英ちゃん……
英士「冴多ちゃん、深い物語だね……」
心紀「尊い教訓。人として大事にすべき道徳心に溢れてるでしょ?」
英士「風歌ちゃんの経験から描いたんだね……」
心紀「良い方向で終わっているね……」
自分の体験を思いを物語に込めたふうちゃんの想い……
なんとしても……
2020.2月の上旬
滝田 《たきた》『冴多、一人の患者さんを見て上げて欲しい』
半年前は、俺はまだ心理カウンセラーとして一年目のぺーぺー……
担当の患者さんを受け持った事のない。 先輩カウンセラー に付いている段階だったんだ
心紀「初めまして桜王さん。心理カウンセラーの冴多心紀です」
初めて個室に訪ねて行って挨拶した時、ノートに何かを真剣に書いていたふうちゃん
ドキドキする位にジっと 、その手を止めて俺を見つめたふうちゃん
(可愛い……)
ふうちゃんと出逢えた喜びに神様に感謝したんだ……
その後、2回部屋に訪ねたけれど
心紀『沢山お話を聞かせて下さいね』
他愛の無い俺の一方的な話を、微かに頷きながらふうちゃんは……
心紀『夏輝さん、どうしたら想いを聞いてあげられますかね?』
情けない事にふうちゃんの話しを聞きだせない俺は、この病院に努めた際に、担当指導員として仕事を教えて下さった一つ年上の、鮎川夏輝さんに泣きついたんだ
夏輝『冴多くん、ふうちゃんの資料には目を通したのよね? ふうちゃんの様子を見極めるのも大切よ。気が付いている? ご家族の様子には?』
ご家族? ふうちゃんの父親の源本さん?
俺は源本さんにお話を聞かせて下さいと連絡して。ふうちゃんの担当を請け負った事を伝え挨拶もした
ふうちゃんの所に、時間の許す限り顔を出しておられる姿も見掛けている
憔悴仕切った表情の源本さん……
あぁ、ふうちゃんと一緒にご家族も苦しみの中にいたんだ……
──
倫『冴多先生……風歌は助け様としたんですよ……なのに……』
源本さんの想いは、ふうちゃんを苦しめた介護施設の事件の隠蔽を公にする事
嘘を付いている施設に、嘘を認めさせ謝罪させ真実を明らかにする事
その想いを知らないでふうちゃんを救えるはずないんだ。そして俺は、御厨涼也くん、桜王るなさんにも出逢い寄り一層想いを強くしたんだ
──
-みんなの部屋-
病院にて長期間入院生活を送り、生活している子供達がいる。院内学級とは他にレクリエーションの為の部屋。この病院では 『みんなの部屋』と呼んでいて
その部屋に置いてあるピアノをふうちゃんが弾いて、子供達が 聞くという光景が見られるようになったんだ
入院したての頃のふうちゃんは 、微かに表情の変化は見られるけど、余り表情を変える事が無かったんだけど
しかし、子供達と過ごしている時のふうちゃんの表情は全く違ってた
子供達を見つめる瞳が 、とても綺麗で慈愛に満ちていたんだ
それが本来のふうちゃんの瞳なんだね
子供達は分かっているんだね
仲良くなった子供達にふうちゃんは、お話を聞かせてとせがまれて
風歌『紙芝居を作ってあげる』
って約束して
そんな中、世界情勢が変化してきて……
体調崩すと、一気に症状が悪化してしまう、免疫力の弱い子供達……
会うのもリモートでしか出来なくなった子供達
ふうちゃんは、 何かしらの文章をいつもノートに記して過ごしている
その合間でふれあう子供達との交流の中で、 少しずつ精神が安定していった様に感じられて……
──
風歌『紙芝居出来たの』
俺にも少しずつ話をしてくれるようになっていたんだ
とても嬉しかった
そして……出来上がった紙芝居と、これまでにノートに記してきたふうちゃんの訴えたい事を
俺に見せてくれたんだ……
必ず助けてあげると誓ったんだ……
こんな理不尽な事があっていい訳無いもの……
よろしくお願いします