第106話 一緒に二人で乗り越えていこう.結婚して下さい(心紀&夏輝)
後日
倫「冴多先生……風歌もるなも、良い相手に望まれ、そして選んだ……本当に良かった。心から二人を祝福するよ……とか、姉に言いながら早すぎるだろう……とかグチグチ考えてしまって。オマケに冴多先生に愚痴をこぼすとか……情けない父親ですね……すみません」
心紀「いえ……愛する娘が二人。同時に、同じタイミングとか……余り無い事だと思いますから。メンタルがキツイなんてもんじゃないですよね……」
倫「……でも、冴多先生に聞いて頂いて心が軽くなりました。これで本当に風歌とるなの幸せを喜んであげられると思います」
──
夏輝「本当に、メンタルがキツイなんてもんじゃないと思うわ……親の立場からしたら……源本さん泣いていらしたのかしらね……声が震えてたって事は……」
心紀「うん…… 電話だからね。分からないけど……多分きっと……」
とってもセンチメンタルな気分だ
心紀「本当ならね。シチュエーションとか、場所に拘りたかったんだけど……」
このご時世だし。 心が伝われば良いんだもんね
夏輝「心紀くん？」
心紀「夏輝さん。もう二度と貴女が心を痛めて泣く事のないように、俺が傍にいて守りますから……苦しみ悲しみは、一緒に二人で乗り越えていこう。笑顔溢れる楽しい家庭を作り上げていこう。愛しています。鮎川夏輝さん。冴多心紀と結婚して下さいませんか？」
瞬間、美しい切れ長の美しい瞳涙を浮かべた夏輝さん
ねぇ、夏輝さん。その涙の意味は？ 不安になっちゃうよ……
夏輝「私、人の心に寄り添う仕事をしていながら、どこか人間不振な所があるの。そんな人間を好きになってくれる人なんていない。何より自分で自分を愛せない人間が幸せを求めちゃいけないんだ。って思って来た……心紀くんは、私の頑な心を溶かしてくれた。少しだけ自分を好きになれたの。愛ししています。冴多心紀さん。鮎川夏輝と結婚して下さい。宜しくお願いします」
ポロンと零れ落ちた涙の雫……
心紀「幸せにします」
俺は夏輝さんの左頬に
軽く右手をそえると
チュッ
誓いのキスを送ったんだ
よろしくお願いします
