第五話 スイーレンの国王と王女
第五話になります。
本日18時に第六話も投稿します。
よろしくお願いします。
翌朝、クォーリカルに案内された部屋で修二は目を覚ました。
「ん、どこだここ?・・・ああスイーレンの城か」
寝起きで少し寝ぼけていた修司は自分がどこにいるか一瞬分からなかった。
「今日は確か国王と会うって言ってたな。着替えとくか」
修司そう言いながら、この世界に来た時に着ていた服に着替えた。
そして、部屋に窓から城の外を見た。
「凄いな、ゲームとかアニメで見た景色みたいだ」
城の外の遠くには広い草原とその先には海が見えており、近くを見れば周りを囲っている城壁とその中には何軒あるか分からない程の家や店らしき建物があった。
そんな景色を見ていると、部屋の扉が叩く音がした。
「はい?」
「失礼しますね」
そう言って入ってきたのは、昨日出会ったクォーリカルだった。
「おはようございます、小田さん」
「おはようございます、クォーリカル様」
「昨夜は無事眠れましたか?」
「はい、突然のこととウルフに襲われたことで疲れてたみたいで。まだ緊張感がないのかもしれません」
「いえ、むしろ無事に寝れたのであれば肝が据わっているかと。それに寝れていなければこの後話すことも
頭に入らないと思いますし」
「ありがとうございます。もう国王様と?」
「ええ、国王の執務室にて国王と王女がお待ちになっています」
「もうですか。これ以上待たせるわけにはいかないですね。案内をお願いしてもいいですか」
「もちろんです」
クォールカルと修司は部屋から出ていき、国王達の部屋と向かいだした。
昨日はクォーリカルの部屋と修司が寝た部屋、そこに行くまでの廊下しか見ていなかった修司は改めて城の廊下を歩いていると今まで自分が見たことない景色に圧倒されていた。
角を曲がり歩いていると行き止まりに扉があり、クォーリカルはそこで止まった。
クォーリカルは扉を叩き話した。
「国王、小田修二さんを連れてきました」
「はい、入ってください」
国王からの返事の後、中から扉が開いた。
修司とクォーリカルが部屋に入ると、中にいたメイドが扉を閉め、近くにあるワゴンに向かった。
ワゴンの上にはティーポッドとカップが乗っていた。
修司はそこで部屋全体を見渡した。部屋には横に長い机と高級そうな椅子が三方向に1つずつ置いてあり、その真ん中にはローテーブルが1つとソファーが2つ置いてあった。
そして扉を入った修司からみて正面と右側の執務用の机と椅子でなにやら作業していた様に見えるのは40代近くに見える男性と修司より少し年上に見えそうな女性がいた。
「クォーリカル様、小田様お待ちしていました。さ、そちらへおかけください」
男性は真ん中にある片方のソファーを手で指しながら言った。
その後、男性と女性は椅子から立ち上がり、もう片方のソファーに向かい座った。
修司とクォーリカルもソファーに座った。
さっきのメイドがローテーブルにカップを4つ持って来てそれぞれの前に置いた。
修司は匂いからして紅茶のようなものだと思った。
「小田修司君、私がスイーレン国国王のぜレノア・ヴィオレシスだ」
「小田修二さん、国王の娘メルリー・ヴィオレシスです」
「はじめまして、地球という星から来ました小田修司です」
「大体の経緯はクォーリカル様より聞いています。本日は私共のために時間を作って頂きありがとうございます」
「そんな、俺の方こそ本来であればスイーレン国にいるはずがないのにありがとうございます。後、俺は国王様達に敬語を使ってもらう程の立場ではないので、丁寧な言葉でなくて大丈夫です」
「そうか、それなら修司君もいつも必要以上に畏まらなくて大丈夫だ」
「ええ、どの国においても異世界の方の立場は余程のことがない限り、所謂私達貴族と同じ扱いになっています」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。それで、昨日クォーリカル様から今日話し合いと聞きましたけど具体的には何を?」
修司がそう言うと、ぜレノアは一口カップも飲み物を飲んだ後、口を開いた。
「ああ、そのことなのだがね。クォーリカル様と同じ意見だが修司君には我が国の学園・・・フォルノア学園に入学して欲しいのだ」
「はい、年に一度ある大会で優勝して欲しいからだと」
「ああ、そうだ。まずは学園と大会についての説明が必要だろう」
「それは私からお話しします。まずこの星シュートレラですが今から約5000年程前から魔物が出始めたと言われています」
「小田さんが私と最初に出会った時にいたロウウルフがそれに当たります」
「あれが魔物・・・」
「そして、その時を同時に世界中の人、物には魔力が内包していると言われ始めました。それに伴い魔法やそれに関連する研究も行われました。そこで最も注目されたのがスキルと適正魔法数、適正魔法です。魔法は誰しもが使えるものでありながら、使える魔法の種類に向き不向きがあるように見えました。更に、魔法が使えるというだけでは説明がつかないことをする人も現れました。それがスキルになります。」
「それが俺のスキルで言うと精霊契約とかにあたると?」
「そうです。そして、最初こそこの星は国を問わず魔物の脅威に立ち向かうべく協力していました。ですが、研究が進むにつれ自分達の国の中で有能な者が多くいるとなると少しずつその関係性は変わってきました」
「国同士の優劣をつけ始めたってことですか?」
「ええ、見苦しい話です。そして、各国は1人でも多く優秀な者を見つける為、育てる為に学園を作りました。その時を同じくある国が他国に対し戦争をしかけました。それがクージセルになります」
そこで修司はある予想に気づいた。
「・・・まさか俺達が呼ばれた理由って」
「ええ、学園の大会は間違いではありませんが、真の目的はその先です。戦争に勝つため」
「まさか!あっちの国王は大会に勝つためだって」
「流石にいきなり他国との戦争の為に呼んだと言っては誰も頷かないでしょ。過去にもあったそうです。まずは学園でこの国について学ばせ、大会に出させ勝つことで自分達が人を倒せる力があることを自覚させる。後は、自分達の星に帰るまでの時間がかかることを理由に他国や魔物と戦わせる」
「そんなこと・・・!」
「ですが、修司さん達異世界の方はこちらが帰る手段を用意しない限り帰れません。また、準備するのに時間がかかるのは真実です。その間に他国から襲われたという嘘の理由を作ることでクージセルを守らないと自分達の星に帰れないことを話し戦争に加担させようとするでしょう」
「俺達のことをただの都合のいい駒にしか見てないってことか・・・」
「恐らくですが」
修司は両手をきつく握りしめ歯を食いしばっていた。
自分達が呼ばれた理由が国同士の戦争の駒扱いためだったと知り、今すぐ竜一達の所に行って真実を話したかった。
「・・・クージセルには一緒に召喚された俺の友達がいます。そうなると皆は」
「いつかは戦争に出されることになると思います。ですが、最初は学園の大会を優勝することからでしょうから少なくとも入学から直ぐそこまで危険なことはしないと思います」
「ああ、少なくとも大会が行われるまでは大丈夫だろう」
「そうですか。・・・あの、クージセルにいる友達と連絡を取ることって」
「難しいでしょうね。他国の者と連絡を取ること事体が難しい上、異世界の方となると恐らくお城でしょうから連絡を取るのは不可能でしょう」
「じゃあ、あいつらにこのことを伝える手段はないってことですか」
修司はメルリーからの言葉を聞いて頭を落とした。
そこで、クォーリカルがメルリーから言葉を続けた。
「1つだけ方法があります」
「本当ですか!?」
修司はクォーリカルからの言葉を聞いて修司は落としていた頭を上げ、クォーリカルを見た。
修司の顔を見たクォーリカルは一度頷くとまた言葉を続けた。
「はい、可能性は低いですが上手くいけば」
「その方法はなんですか?」
「学園大会に出ることです」
「学園大会に?」
「はい。学園大会について詳しい話をしていませんでしたね。学園大会は毎年6つの国を順番に開催地としています。この時は各国の代表生徒は他国に入ることができます。そして、大会の会場であれば他国の生徒と出会い、話すことも可能でしょう」
「・・・じゃあ俺がフォルノア学園に入学して代表生徒に選ばれれば、クージセルの友達に真相を伝えることも出来ますか?」
「クージセルが異世界の方を丁重に扱い、自国の者としか交流させようとしないなら難しいですがそれでも唯一話せる機会があります。大会に参加するなら」
「参加するなら・・・試合中ってことですか?」
「その通りです。試合中なら近寄った時にこっそり話すことも出来ます。その相手が小田さんのことを知っている方なら、そこから他の方へも話が広がるでしょう」
「けど、俺の力じゃ・・・」
そこで修司は自分のステータスとスキルを思い出した。クォーリカルから説明を聞き、強くなれる可能性があることを知ったがそれでも可能性だけだった。
本当に強くなれるかも分からない。その部分が修二を最後の最後で押し留めていた。
そんな中クォーリカルは毅然とした態度で修二に話した。
「小田さん、大丈夫ですよ」
「え?」
「小田さんの最大魔力保有量とスキルがあれば問題ありません」
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