第三話 召喚の経緯2
少し間が開きましたが、第三話になります。
本日18時に第四話も投稿します。
「特別な力ですか?」
後ろのいる女の子から声が聞こえてきた。
「ええ、以前あなた達と同じようにこの世界に呼んだことがありました。最初私たちは、特別な力があるとは知らず呼んだのですが学園に通い力をつけると明らかにこの世界の同年代の学園の者と比べると差がありました。その者たちが学園に在籍していた期間我が国は大会でずっと一番になり続けました。そして、原因は分かりませんがその者たちと一緒にいたこの国の者たちも個人の差はあるものの、一緒にいない者と比べると力の差が出ていました。それに目をつけた私たちは今回またあなた達を呼んだということです」
にわかには信じられない話だが、前例がある以上そうなのだと現状信じるしかない修司たちだった。
「勿論、こちらの勝手な都合で呼んでいるのですから、あなた達の生活面については国から支援します。これはこの国の国王が保証します」
そう言いセフィゾレスは国王の方を見た。
国王はセフィゾレスの言葉に首を縦に振った。
「そして、あなた達は我が国の学園に6年間通って頂き、役目を終えた後は2つの選択をしてもらいます。1つは元の世界に戻る。もう1つはこのままこの星で過ごすかです。勿論強制はしませんので、どちらを選んで頂いても構いません」
セフィゾレスがそう言った所で、修司の後ろにいた駿太郎が話した。
「どちらもと言いましたけど、ここで6年も過ごして俺達の世界に帰っても俺達はまもとな生活ができませんけど?俺達も元の世界ではこっちで言う学園に通ってる。6年も経った後だと、退学扱いになってるしそんな状態じゃまともな職にもつけない。半ば強制的にここに残るしかないお思うけどな」
駿太郎の言葉に他の男女とも同じような言葉を口にしだした。
そこで、セフィゾレスが言葉を挟んできた。
「それでしたら、問題ありません。過去この星に来た人は全員漏れなくそちらの世界に帰っています。その理由としてはこちらから返す際、こちらに来た時間に返すからです。なので、こちらで6年いても向こうに戻っても問題ありません」
セフィゾレスが言った言葉に全員が黙った。
その言葉に保証がある訳ではないが、これ以上なにか言っても変わることはないだろうと思った。
なので、少なくとも今はセフィゾレス達が言う言葉を信じるしかない。
「それでは、まず今からあなた達の現状を知りたいと思います。今からこちらで用意する物に触れて頂ければ大丈夫です」
そう言うと、国王の横にいたもう一人の女性が近くの騎士に声をかけた、
「例の物をここに」
それを聞いた騎士数人は部屋の隅に置いてあった台車をこちらに運んできた。
台車の上には直径10cm位の透明な球体が人数分置いてあった。
そしてその女性が説明を始めた。
「これは、その者の現在の能力やスキルを判定する物です。今から皆様には各自の能力を測ってもらいます」
台車を持ってきた騎士たちは修司たちにその球体を配った。
「両手で持ってもらい、ステータスオープンと唱えてもらえれば目の前にステータスが表示されます。
ステータスには名前と年齢の他に体力、魔力、筋力、耐久、機敏、知能、器用、運、適正魔法数、最大魔力保有量、適正魔法、スキルが表示されます。数値は高ければ高いほど強さを表します。」
「あの、適正魔法数と最大魔力保有量、適正魔法って言うのは?」
いつの間にか声優組は集まっており、そこにいた彩希が訪ねた。
「適正魔法数とはこの世界にある属性魔法の使用できる最大数です。適正魔法は火・水・土・風・雷・光・闇・時空・回復の9種類です。また無属性魔法もありますが、これは誰でも無条件に使用できるのでカウントされません。そして、最大魔力保有量とは自身を鍛えることで最終的に使える魔力の多さになります。適正魔法は既に使える魔法となります。適正魔法数より適正魔法が少ない場合、今後使える魔法が増える場合があります。そして、皆さんには最初からこの世界の者と意思疎通が出来るように異世界言語のスキルがあります。それ以外にあるスキルが何かにより皆さんが今後どういった方法でこの世界の大会で戦うかを考えることになります」
女性の話が終わると修司達は各々球体を両手で持ち、ステータスオープンと唱えた。
ステータス
小田 修司 16歳
体力:200
魔力:1500
筋力:35
耐久:45
機敏:35
知能:70
器用:25
運:300
適正魔法数:4
最大魔力保有量:???
適正魔法:光
スキル:異世界言語 精霊召喚 精霊契約 探知 ???
「(これってどうなんだ?魔力と運はこの世界の平均より高いけど、それ以外は少し高い位だし。それに最大魔力保有量が?なのとスキルにも1つ?で分からない)」
セフィゾレスが一人一人のステータスを見ていた。
修司は丁度近くにいた光汰に近づいた。
「光汰ステータスどうだった?」
「あ、修司。僕のはこんな感じだよ」
そう言って光汰は修司にステータスを見せた。
ステータス
宇都宮 光汰 15
体力:700
魔力:1000
筋力:100
耐久:120
機敏:110
知能:70
器用:150
運:50
適正魔法数:7
最大魔力保有量:600000
適正魔法:火・水・土・風
スキル:異世界言語 魔法高速詠唱 探知 魔法強化
「光汰強くないか?」
「いや、僕も修司以外は見てないからわかんない」
「いやけど俺のステータスこの世界の平均位しかないし」
そう話しているとセフィゾレスが2人に近づいてきた。
「お2人共ステータスを見せてもらえますか?」
「「はい」」
2人はセフィゾレスにステータスを見せた。
光汰のステータスを見た時、セフィゾレスは少し笑い首を縦に頷いた。
「各項目共この世界の同年代に比べ高いですね。それに適正魔法数が7ですか。現在他の皆様に比べて一番多いですね。それに現状で4つも既に使えますね。最大魔力保有量も素晴らしい。スキルもステータスにマッチした物ですね」
そう言い、セフィゾレスは修司のステータスを見た。
「?・・・・・・!?」
一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐ戻りその後は少し残念そうな顔になった。
「魔力と運は一番高いですが、他はこの世界の学園の生徒の平均位ですか。・・・それに加えスキルが精霊召喚と契
約ですか」
そう言ったセフィゾレスの顔は明らかにハズレを引いたと言った顔だった。
「えっと、精霊召喚と契約ってあんまりよくないんですか?」
修司は不安になりセフィゾレスに聞いた。
「そうですね、正直に言って使い道があまりないと言えますね。スキルの内容は文字通り魔力を使うことで精霊を召喚、そして契約をすることができます。ですが、契約をするにはその精霊に認めてもらう必要があります。認める内容は精霊毎に違うので、ステータスが低くても可能性は0ではありませんが、現状ですとよくて中級精霊くらいまでですね」
「そうですか」
「・・・召喚組でも魔力と運以外はほほ最低魔法適正も4つの上に現状光だけ。魔法に特化したスキルもない。ハズレですね」
セフィゾレスは周りに聞こえないように修司のステータスを見た結果を呟いた。
そして、セフィゾレスは国王と女性の元に戻ると何かを話し始めた。
「(もしかして俺のステータスって良くないのか?流石にそれでどうにかしないよな・・・)」
修司の予想は悪い方で当たってしまった。
話が終わった3人は修司達の方に歩いてき、修司の前で止まった。
「そなた名は?」
「小田修司です」
「小田修司か。小田悪いが君をこのままこの国置いておくにはいかない」
国王の言葉に修司を含め周りにいた人は何事かと目を見開いた。
「・・・理由を聞いてもいいですか?」
「1つはお主のステータスだ。魔力と運は他より高いがそれ以外はそなた達の中で最低値どころかこの世界の者とあまり変わらない程度、その上あまり役に立たない精霊関係のスキルとなるとそのような者に国が保護をするメリットが見えん」
国王の顔と物言いは先程までの全員に向けていた物ではなくなり、修司に向けているのはたった1つだった。
役立たずだと。
「待ってください。さっきそちらは言いましたよね?僕たちはここの人より力がつきやすいって。ってことは今低くても後には僕たちと遜色なくなるんじゃないんですか?」
修司の横にいた光汰はそういって国王に言い返した。
だが、国王達の態度は変わらなかった。
「たしかにステータスだけ見ればそうかもしれん。だがスキルだけは何ともならん。精霊系のスキルは今まできた異世界の者でもこの世界の者に比べて少し上程度の力しか発揮できなかった。その上適正魔法数も4で、適正魔法は現状光だけだ」
「だからってそっちの都合で呼び足して、思い通りじゃなかったから国に置いておけないってのは勝手じゃないか?」
そう言ったのはいつの間にか修司達の近くにいた竜一だった。
「これから何かスキルが出るかもしれない。適正魔法だって後3つ残ってるんだろう?俺達の国には大器晩成って言葉があって後から強くなる人もいるんだ」
その言葉を聞いてもセフィゾレスは首を横に振った。
「将来性を見越してというのは一理ありますが、ステータスが最低値に加えスキルもハズレでは期待しようにも低すぎます」
「だからって・・・!」
それでも竜一は言い返そうとしたが、それは無駄に終わった。
突如セフィゾレスの周りから紫の光が出始めた。
「これ以上時間をかけるのは得策とは言えませんね。申し訳ありませんが修司さんには他国に行ってもらいます。運が良ければ誰かに見つけてもらえるでしょう。・・・テレポート」
そう言ってセフィゾレスは紫の光を修司に向けて放ち、テレポートと唱えた。
紫の光に包まれた修二は突然その場から消えた。
「修司!」
「修司!?」
竜一と光汰は突如消えた修二に驚き、周囲を見渡した。だが、修司の姿はどこにもなかった。
慧丞と残りの男女も周囲を見渡したが、修司の姿はどこにもなかった。
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