第二話 召喚の経緯
戦闘シーンはまだまだ先になります。
今の所異世界や修司のスキルだったりと説明等の話で進んでいきます。
小田修二は召喚されるその日まで日本の東京で今年から高校1生になっていた。
公立の中で上の中位のレベルの高校に通っており、帰宅部でバイトして普段は友達と遊んでいると特に変わり種のない高校生だった。
そう、今日のこの日までは・・・
高校1生の修二は今日高校の友達と一緒にある声優達のトークイベントに行く予定だった。7月から放送されているアニメのトークイベントを実施し、修二たちは運よく当選したので行くことになった。場所も東京の秋葉原で遠出をする必要が無かったのも出費面で高校生にはありがたいことだった。
午後13時開場だったので、修二は友達3人と11半頃に秋葉原駅の改札で合流しイベント前に昼食を済ませることにした。
修二たちは会場近くのファミレスに入って注文を済ますと、この後のイベントの話になった。
「修二、そういえば席ってどこ?」
そう言って机を挟んで修二の前から声をかけたのは、高校の同じクラスの桜田竜一だった。
「ん、ちょっと待って」
修二は自分の財布からチケットを取り出して座席を確認した。
「俺と竜一はAブロック2列目15、16番だな」
「え?それ最前ブロックだよね?」
修二の席の場所を聞いて声を出したのは、修二の横に座っていた宇都宮光汰だった。
「2階席とかない会場だから、アルファベット順なら多分最前だと思う」
「修二と竜一席運良すぎじゃない?」
「ほんとだよな、おい竜一俺と席変われよ」
そう言いながら、横に座っている竜一の肩を軽めに叩いたのは、絢島慧丞だ。
「嫌だよ、最初に連番この組み合わせって話し合っただろ」
「それに僕達もそこまで悪いわけじゃないしね」
そう言って光汰が見せてきたチケットにはBブロック1列目と書いていた。
「まあ、そうだけどな。それより今日のイベントって香蓮ちゃん以外誰が出るんだ?」
慧丞が言った香蓮とは今日修司たちが行くイベントのアニメのメインヒロインの1人を演じる若手声優の1人だった。
「え~と、香蓮ちゃん以外だと望実ちゃんに彩希ちゃん、後は晴斗と駿太郎だね」
「今人気の声優5人もよく集まったな」
「そうだな、しかも5人共俺達とタメじゃなかった?」
「うん、確か今年高3になるはずだよ」
「へ~晴斗と駿太郎の2人もそうか」
「慧丞知らないのか?」
「男性声優には興味ない」
慧丞はそういいって、グラスに残っていたジュースを飲みほした。
慧丞以外の3人はその言葉にため息をつきながら、自分のご飯を食べ切った。
「そろそろ会場に向かうか?」
修司は自分の腕時計を見ながら3人に言った。
「ん、12時半か。そうだね」
光汰も自分のスマホで時間を確認して同意した。
4人は席から立ちあがり、個別に会計をした。
ファミレスから会場までは徒歩10分程だったので、途中のコンビニで飲み物を買って会場に向かった。
会場前には既に入場列が形成されていたので、修司たちは最後尾に並んだ。
20分程話していると列が動き出して、そこから10分程すると会場内に入ることができた。
一階のフロア内に入った後、修司・竜一、光汰・慧丞の二組に分かれてそれぞれの席に向かった。
「やっぱり最前ブロックはステージに近いな」
「だね、二列目だから更に地下ね」
修司たちはフロアの最前ブロックの前から2列なので、ほぼ目と鼻の先にステージがあった。
そして、修司たちの15、16番の席はブロックのど真ん中なので、イベントが始まると正面に声優達が座ることになる。
「修司これ今年の運使い切ったんじゃない?」
「俺も同じことを思ったよ」
修司と竜一は少し苦笑いしながら席に座り開演まで話しながら時間を過ごした。
15分程すると、会場内にアナウンスが流れ始めた。
「皆様本日はご来場頂きありがとうございます。アニメ世紀末の5戦士たちのトークイベントもう間もなく開演致しますのでもうしばらくお待ちください」
アナウンスが終わってから5分後に会場内の照明が消え、ステージがライトアップされた。
会場内の参加者は今からイベントが始まるとわかり、各々声を出していた。
会場内にBGMが流れ始めステージの端から男女6人が歩いて出てきた。
1人だけ年上の男性が手に持っているマイクで話し始めた。
「皆さん、こんにちは。本日イベントの司会を務める川田誠一です。よろしくお願いします」
川田誠一と名乗った男性は軽く頭を下げた後、残りの5人の方を向いた。
「それじゃあ、まずは今回のイベントに出演している方にそれぞれ挨拶をしてもらいましょうか」
そう言われると、誠一に一番近い男子から順にがマイクで話し始めた。
「皆さんこんにちは。ハリス・アルデバイン役の日美野晴斗です。よろしくお願いします」
「こんにちは。ウォーゼ・二アレイン役の尾関俊太郎です。よろしくお願いします」
「こんにはー!ニーナ・レンヴィン役の百瀬香蓮です。よろしくお願いします」
「こんにちは。ユア・ヴァレンシス役の名瀬望実です。よろしくお願いします」
「こんにちは。レノア・ヴィンセント役の和野彩希です。よろしくお願いします」
5人の挨拶が終わった後、それぞれの役についての話が始まった。
15分程、話した後次のコーナーに移ろうと誠一が話し始めた。
「それでは、次のコーナーに行きたいと思います。次のコーナーはこちらです」
誠一がそう言い切るとステージの後ろのディスプレイに次のコーナーのテロップが出た。
「即興アフレココーナーです」
誠一がテロップを読みながら立ち上がろうとした時、それは起きた。
突然ディスプレイから目が開けられない程の光が出た。
参加者から驚いた声が出た。
「何だこれ、まぶし!」
「え、これ演出?」
「何だよ」
ステージの6人はディスプレイに背を向けていたので最初は被害が無かったが、周りの状況からアクシデントが起きたのかと思い、後ろを向いた。
「え?聞いてないぞ」
「何これ?」
「ちょっとまって、スタッフさん!」
そしてその瞬間光が一際強くなり、会場全体を包んだ。
光が収まると、ステージの誠一以外の5人と、会場から修司たちを含めた11人の参加者が席から消えていた。
修司が目を開けると、そこはさっきまでいた会場ではなく、豪華絢爛と言ってもおかしくない光景が広がっていた。
目の前には15m程奥行きがあり、下は赤のカーペットが引かれていて見たことがない大きなシャンデリアや置物が置かれており、周囲には西洋風の甲冑と槍を持った騎士が20人程が列を組んでおり、奥には豪華な服を着た40代位の男性が一人と同じく豪華な服を着ている少し年上に見える女性が一人、そして耳が人間より横に伸びている20代後半に見える女性が佇んでいた。
修司が自分の状況を整理しようとしていると、奥の男性が話しかけてきた。
「突然このような状況で戸惑うと思うが、まずは儂の話を聞いてもらえるか。地球の者達よ」
男性の言葉から修司は周囲を見渡すと、左右や後ろに見慣れた友人とさっきまでステージにいた声優5人に見たことも無い同い年と思われる男女が合わせて15人程いた。
「まずここがどこかと全員が思っていると思う。ここはそなた達がいた地球ではなく、異世界の星シュートレラだ。そしてその星の国の1つクージセルの首都パレスにある城の中で、儂はこの国の国王アレス・リーグレッドだ」
修司達は自分達がいきなり異世界に来たことに驚きと困惑が広がった。
「突然異世界に来たと言われても信じられない話だと思うが、そなた達の疑問には後で応じる。なのでこちらの話をしていきたい。そなた達がこの星に呼ばれた理由だ。
この星にはクージセルを含め6つの国がある。そして、それぞれに子供たちが通う学園があるのだ。そこでは魔法と剣術や武術を学んでいる。そして、年に一回6つの学園が集まり一番の学園を決める大会がある。そして、儂たちの国はその大会で一番になるためにそなた達をよんだのだ」
国王の話を聞いて修司が最初に思ったのは、だから何だ?だった。
この星の大会でこのクージセルが一番になることと、自分達が呼ばれた関係性が結びつかなかった。
そう考えていると、修司の隣にいた晴斗が声を出した。
「すいません、質問いいですか?」
「うむ、何だ?」
「今の話を聞いて、この星の大会で一番になることと俺たちを呼んだことに何の意味があるんですか?」
「そうだな、その話は儂よりも隣にいるセフィゾレス様に話してもらった方がいいだろう。よいですか、セフィゾレス様」
「ええ、構いませんよ」
晴斗の質問に国王は横にいたセフィゾレスという耳が長い女性が答えた。
「そちらの男性の質問に答える前に私のことを話しておきます。私はこの国の女神セフィゾレスです。女神とは各国家に存在し、自分がいる国家の繁栄と長寿を見守る立場となっています。そして、今回あなた達を呼ぶ計画と準備をしたのが私です」
セフィゾレスはそこまで言うと、一度修司達全員を見渡した後話を続けた。
「あなた達を呼んだ最大の理由は、あなた達には特別な力があるからです」
セフィゾレスはそれがあたかも決まりきったことであるかのように話した。
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