朽ちた口
くねくねした帰り道。
朽ちたような口、開いて走れ。
もう堕ちるギリギリの曲がり角で指先には摩擦熱。
手も足も言うこと聞かないほどに空回り。
朽ちたような口、ギリギリまで開け!
侮辱の吐沫に打たれたように、心の芯が震えてる。
先回りできる結末しか、今は頼るしかない。
泣き顔のような笑顔を剥ぎ取って、少し軽くなったかな。
うねるような帰り道。
飢える怖さに思考は奪われ、下り坂は忙しく喘ぐ。
いじらしい唇を待つには災いが多すぎる。
触りたいけど、我慢する。
白々しい言い訳に従うよ。
朽ちる怖さに沈黙を奪われ、上り坂は苦しく喘ぐ。
まだ終わらない時の濁流。
どうすることもできないから、従うよ。
いじらしい口が慰めを囁いてくれる。
優しさだけが甘いなら、しがみつかせて明日を見せて。
優しさだけじゃ甘いから、振りほどいて行き先見せて。
がんじがらめになった沈黙を取り戻せたら、行き急ごう。
漂着の果てに帰還する。
朽ちた口に見切りをつけたら、心地よい風が吹いてくる。
忠告を振り切ったいじらしい唇は語り始めてる。
唇の微動がボロボロの心情を揺らしてる。
まだ終れないから、ギリギリの時間まで囁いて。