1話 俺は情けない男だ
また朝がやってきた。憂鬱な朝だ。
「浩也ぁぁ〜‼︎ 今日こそは行くけんね?」
「もういいって。俺にクラスの立ち位置ねぇし」
「そもそも浩也は何も悪くないんやから、堂々と構えてればいいの!! 私だっているんやからね!!」
「凛、待ってくれ。俺来月までにはいけるようにするからさ!」
「ほんと?」
「ほんとほんと」
「とか言って騙すんじゃないの?」
「可愛い凛の約束はやぶらねぇよ(これで逃げ切れたか)」
「もう〜約束やからね!」
そう言って凛は学校に行った。ちょろいもんだ。
しかし‼︎ それから1か月後。時が経つのが早い……
「今日は約束の日やからね‼︎ 絶対行くけんね‼︎」
「せめて来月までには、来月までにはぁぁ」
「借金とってるわけじゃないんやから、ほら着替えて着替えて!」
「なんでそんなに俺と行きたがってるんだよ……」
もともと凛は可愛いし、明るいし、優しいから友達とかもたくさんいるし、クラスでも困らないはずだ。
なのに、なんで……
「そんなもん決まってるやん!! 浩也が好きやけん一緒に行きたいの!!」
「え」
「だから一緒に行こ?」
「くっ……今日行ってみてダメだったらもう行かないからな!!」
そう言うと、凛の顔が急に明るくなった。まるで向日葵のような笑顔だ。
ちなみに俺の両親は、離婚していて、今は父と2人で暮らしているが出張が多いので実質1人暮らしみたいなものだ。なので凛もズカズカ家に入ってくる。
「はぁ。足が重いなぁ」
「ほらっ!シャキッとしていくよ!!」
そしてどこか懐かしい通学路を通う。皆の視線を感じてとても辛い。
「やべ……帰っていい?」
「大丈夫やから‼︎ ほら‼︎ さっさと歩く‼︎」
そしてやっと俺らが通う高松央星学園に到着して、教室に向かう。
「なんできたの?」
「うわっきも」
「凛も物好きだよねー」
「(だから来たくなかったんだよ……)」
そんな悪口ばっかり皆言いやがって。
「久しぶり!」
そう言って話しかけたのはクラスの美人3人衆の1人
南野 朱莉だ。
「うっす」
そう軽く挨拶だけして自分の席を探す。しかし、学校に行ってなかったのでわからない。
「あ、浩也君の席は私の隣だよ」
「あ、ありがとう」
そう言って自分の席にバックを下ろして座る。
そんな中、来たのは美人3人衆のこちらも1人、
城田 音葉だった。性格は悪いギャルみたいな奴だが、顔のおかげもあり人気も高い。
「あんな事しといて、よく学校に来れたねぇ?」
「音葉! そんな言い方ないでしょ」
朱莉が守ってくれるが、音葉は止まらない。
「こんな奴守らなくてもいいわよ朱莉」
「こんな奴って何よ‼︎ 浩也は何も悪くないんやからね‼︎」
凛も俺を守ってくれる。
「こんな奴をよく信じるよね。ゴミでもみんなで食ってれば?」
「うーっ! もう許せない!」
「何、凛? こいつの事でも好きなの?」
「そうよ! 浩也は優しくてかっこいい男なんやから!」
「へぇ〜じゃここでキスでもしてみなよ?」
「もう我慢の限界やけん、謝っても許さないけんね?」
そう言って凛は、音葉の右頬に思いっきりビンタした。しかし今度は音葉がやり返して、
「この野郎〜‼︎」
凛の腹に思いっきり音葉は殴って、さらに足蹴りもしようとしたが、朱莉がなんとか押さえてくれた。
「浩也君、ここはなんとかするから凛をお願い! 職員室はこの教室を出て、あそこの渡り廊下を通って右の3番目の教室‼︎」
「え、あぁ! ありがと!」
俺は凛を抱えて教室を出た。
「ごめんな、凛……」
こんな情けない男で申し訳ないと思いながら俺は呟いた。そして、急いで、保健室に向かった。
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