7話 ---陸棲烏賊--
「さあて御立合い。今日入荷したのは、かの珍しい『スレイブ』の肉だよ!」
いつもの魔肉屋のおっちゃんがまた新しい魔肉を入荷したようだ。
しかし『スレイブ』…奴隷?
「おっちゃん、『スレイブ』ってどんな魔物なの?」
「おおっと、Se…いつもの坊ちゃん。いい質問だ。」
一瞬、『聖童様』って言いかけたな。
「『スレイブ』ってのは8本足で森を走り回る一見、馬に見える魔物でね、その足の速いのなんのって。」
もしかして『スレイプニル』かな?
「しかしそいつの足には骨がないんだよ。胴体に一本だけ太い芯が通っているんだがね。」
筋肉だけで体を支えるってどんな生き物だ?
「獲物に近づくと頭がガバッっと割れて触手でからめとるんだよ。」
?…バッカルコーン?
「その後は、おなかに付いた口でバリバリ獲物食べちまうんだ。」
『骨がない』『胴体に芯』『多足』『足の間に口』に当てはまる生物と言えば。
「おっちゃん。もしかしてこの魔物ってクラーケンの味がする?」
「坊ちゃんは相変わらず博識で。その通り。こいつは少し塩っけはないがクラーケンに味がそっくりなんだよ。」
『スレイブ』の正体は陸棲適応したイカだろう。
デュガなんちゃらって人が未来生物として象タイプと猿タイプを想像していたが、馬タイプに進化していたとは。
「今回は軽く燻してあるだけだから今日中なら薄く切ってそのまま食べれるよ。しばらく置いとくんなら本燻か塩漬けしとくれ。足を一塊大銀貨5枚だよ。」
見た目2キロ2万円=グラム1000円ってところか。
「おっちゃん、ふた塊…いえ四塊ちょうだい。」
「毎度あり!いつも御贔屓に。」
「おい、聖童様が買うって事はこの魔物…『アタリ』か?」
「何を言っているんだい。この魔肉屋、『ハズレ』を持ってくることがない事で有名だよ。だから聖童様も毎回通ってなさるんじゃねーか。」
「てことはやっぱり『アタリ』なんだろう。オヤジ!俺にも一塊くれ。」
「あっ!俺にも一塊だ。」
今回も早期売り切れ大盛況であった。




