3話 ---貴婦人席---
現在、劇場個室は、一室は教会関係者、残りは貴婦人で占有中です。
「今日はお誘いいただきありがとうございました。」
「こんなに劇が素晴らしいものになっているなんて初めて知りましたわ。」
今日は、派閥は違いますがワルキュール侯爵家のタマモール様とアテルイ伯爵家のシーザロール様もお誘いしています。
「ロール様。このような劇に変わったのは、この劇場が『フルタ=ヒロ』って方を迎え入れてからですわ。」
「そうですわ。フルタ=ヒロって方を起用してからの劇ってどうもこう面白いんですの?」
「アマリ様。一度そのフルタ様を紹介してくれません事?」
言えません。『フルタ=ヒロ』=『フィロルウェイン』だなんて。
これは公爵家の秘密であり他に知っているのはエイリちゃんだけです。
「申し訳ありません。人前に出ないことは本人の希望でして。これは本人と当家および劇場との契約のようなものですの。」
なんとか誤魔化しましょう。
「えっ?でも娘たちは会ったことがある様子でしたわよ。問いただそうとしたらはぐらかされましたけど。」
フィロルウェイン。秘密にしていなかったのですか?
「その事でしたらエドルーゼが言ってましたわ。前にフィロルウェイン様に誘われて観劇した際に偶然会えたのだとか。」
ナイスフォローです。エイリちゃん。
「まあ、そんな事ならはぐらかさずに言ってくれればよかったのに。」
「きっと、羨ましがられると思って黙っていたかったんだと思いますわ。」
あ~。エイリちゃんが友達でよかった~。
「それにしてもよかったのでしょうか。娘たちをおまかせしてしまって。」
「気にしないでくださいまし。これは息子たちが言い出した事ですので、すべての責任は当公爵家が持ちますわ。」
ちょっと失言でしたか?これでは何かあれば当家に嫁に来てもらう意味にも取れかねませんね。
「それでも恐れ多いと言うか…」
「ご心配なさらずとも、フィロルウェイン様やファルシオン様はほとんど護衛もつけず街を散策されていたと聞きますわよ。そのうえで何も問題はなかったと。」
「そうそう。それに娘たちから聞きましたわよ。従者として付いてきている護衛が、半端なくお強いって。」
「それに今や聖童認定されているお二方の前で何か問題がおきるなんて考えられませんわ。」
「そうですよね、アマリ様。」
な、なんか当家…いえ、フィロルウェインへの信頼度が…重い。
え~いヤケです。
「タマモ様、ロール様。すべて当家におまかせくださいませ。」
「「はい、アマリ御姉様」」
何かあったら全責任取ってもらいますからね。フィロルウェイン。




