1話 ---双子判別---
「モドア。この父上宛ての書類を執事長に。内容は専属の申請書です。後、面会予約を。おいしいデザートができたので一服しませんか と伝えてください。」
「フィロルウェイン様。私はドコデリットです。」
「あっゴメ…と」
貴族はむやみに謝ってはいけない。(『貴族礼儀手引書』1章7項)
しかし本当にそっくりだな。いつの間に入れ替わった?
「ドコデ。お前たちを見分ける方法はないのか?」
「ヒロ様、そう言われましても…」
いくら双子でも成長すれば多少の違いが出てくるものだが…
お使いから戻ったら、モドアも呼んで検証する。
髪型が若干違うか?
指紋同様、旋毛も個人で異なる、たとえ一卵性双生児であっても、だ。
しゃがんでもらって頭を見せてもらう。
やはりドコデは右巻き、モドアは左巻きだ。
髪型を似せるためモドアは無理やり髪を右に流していた。
「ベティ、ガーリィ。ドコデとモドアの髪を自然な形になるように梳いてあげてください。」
結果は、ドコデは左分け、モドアは右分け となった
とっさの時には間違うかもしれないが、普段なら早々、間違うことはないだろう。
後で侍従長から感謝された。よく二人を間違えてトラブルの元だったそうだ。




